Aerodromeの強さの根源は、「ve(3,3)」と呼ばれる、DeFi（分散型金融）の歴史が生んだ2つの天才的な発明を組み合わせた、究極のトークンモデルにあります。

• Vote Escrow (ve)モデル：「ガチホ」するほど偉くなる仕組み
  これは、DEXの巨人Curveが発明した「長期保有者優遇システム」です。AerodromeのトークンAEROを預けてロックすると、その期間に応じてveAEROという「投票権NFT」がもらえます。ロック期間が長いほど、より多くの投票権が手に入り、プロトコルが生み出す利益（取引手数料など）をたくさん受け取れるようになります。 これにより、短期的な売買で儲けようとする投機家ではなく、プロジェクトの長期的な成功を信じる「ファン」が報われるのです。
• (3,3)ゲーム理論：「みんなで協力すれば、みんなが得をする」仕組み
  これは、「囚人のジレンマ」を応用した考え方です。参加者全員が協力的な行動（AEROを売らずにロックする）を取れば、トークン価格は安定し、全員が報酬を得られてハッピー（+3, +3）。逆に、みんなが売りに走れば、価格は暴落し、全員が損をする（-3, -3）。このシンプルな理論が、**売るよりロックした方が合理的**という強力なインセンティブを生み出し、売り圧力を自然に抑制します。

この2つを組み合わせたve(3,3)は、「AEROをロックすればするほど、投票権が増えて儲かる。そして、みんながロックするから価格も安定し、さらに儲かる」という、まさに”儲かり続ける永久機関”＝フライホイール効果を生み出すのです。

Aerodromeを動かす「フライホイール効果」の5ステップ

この永久機関は、以下の5つのステップで回り続けます。

1.【応援広告】プロジェクトが「Bribe（お礼）」を差し出す
Base上の新規プロジェクト（例：ゲーム）が、自分のトークンの取引を活発にしたいと考えます。彼らはAerodromeでveAEROを持つ人々に「私たちのプールに投票してくれたら、お礼に賞金をあげます（これがBribe）」と宣伝します。

2.【投票】veAEROホルダーが儲かるプールに投票
veAEROを持つ私たちは、どのプールが一番お礼（Bribe＋手数料）をくれるかを見極め、毎週木曜日に投票します。当然、儲かるプールに票が集中します。

3.【報酬決定】投票結果に応じてAEROが配分される
投票結果に応じて、その週に新規発行されるAEROが各プールに分配されます。10%の票を獲得したプールは、その週のAERO排出量の10%を報酬として受け取ります。

4.【流動性集中】LPが高利回りプールにお金を入れる
流動性提供者（LP）は、高いAERO報酬（高APR）に惹きつけられ、そのプールに資産を預け入れます。これにより、プールには莫大な資金（深い流動性）が集まります。

5.【取引活性化→手数料UP】深い流動性で取引が活発に
流動性が深くなると、大口取引でも価格が滑りにくく（低スリッページ）なるため、多くのトレーダーが集まり取引が活発化。結果、たくさんの取引手数料が発生します。

そしてここが最重要ポイント！ この発生した取引手数料の100%が、そのプールに投票したveAEROホルダーに還元されます。 儲かるプールはさらに多くの投票とお礼（Bribe）を集め、1〜5のサイクルがさらに強力に回り始めます。これがAerodromeの成長の秘密です。

Aerodromeは、その優れた仕組みと戦略で、Baseエコシステム内で絶対的な地位を築いています。

①：DEXの巨人Uniswapを打ち負かした実績

Baseローンチ後、Aerodromeは王者Uniswapと顧客獲得競争を繰り広げました。主戦場は最も取引量の多いETH/USDCペア。Aerodromeは、取引手数料をUniswapの0.05%よりわずかに低い0.04%に設定。このたった0.01%の差が、価格に敏感な取引アグリゲーター経由のフローを根こそぎ奪い、Aerodromeはこのペアの取引量でUniswapを上回るという快挙を成し遂げたのです。

これは、Aerodromeのモデルが、LPだけでなく投票者（veAEROホルダー）にも利益を還元することで、プロトコル全体として柔軟かつ戦略的な手数料競争を仕掛けられる強さを持っていることの証明です。

武器②：Coinbaseという「最強の後ろ盾」

Aerodrome最大の強みは、Baseの生みの親であるCoinbaseとの運命共同体とも言える関係です。

2024年2月、Coinbase VenturesはAerodromeに戦略的投資を行いましたが、これは単なる資金提供ではありませんでした。なんと、市場でAEROトークンを直接購入し、それをveAEROとして永久にロックしたのです。さらに、Coinbaseは一人のveAEROホルダーとしてガバナンスに参加し、自社の資産であるcbBTCの流動性が増えるように毎週投票まで行っています。

この事実は、CoinbaseがAerodromeをBase公式の流動性レイヤーと見なしていることを明確に示しています。Coinbaseがその数千万のユーザーをBaseに呼び込むとき、その巨大な資金の受け皿となるのがAerodromeなのです。これほど強力で信頼できる後ろ盾は他にありません。

武器③：常に進化を続ける機能

Aerodromeは現状に満足せず、常に進化を続けています。

• Slipstream（集中流動性）: Uniswap V3の「いいとこ取り」をした機能。特定の価格帯に流動性を集中させることで、少ない資金でより効率的に取引を処理し、トレーダーに超低スリッページを提供。これでUniswapからさらにシェアを奪いました。
• Relay（おまかせ資産運用）: 「毎週投票するのは面倒…」というユーザーのために、最適なプールへの投票から報酬の再投資（複利運用）までを全自動で行ってくれるサービス。手間なく効率的に資産を増やせる、まさに夢のような機能です。

では、私たちユーザーにとって、Aerodromeはどう活用すればいいのでしょうか？答えは明確です。

そして、「CandyDrops」の読者が最も知りたいであろうエアドロップについて。

結論から言うと、Aerodrome自体が今から大規模なエアドロップを行う可能性は低いです。しかし、本当の宝は別の場所にあります。それは、Aerodromeを「未来のエアドロップを根こそぎ獲得するための戦略的ハブ（司令塔）」として活用することです。

近年のエアドロップは、エコシステムに貢献する「質の高いユーザー」を狙い撃ちする傾向にあります。では、Baseエコシステムにおける「質の高いユーザー」とは誰でしょうか？

答えは、「その経済の心臓部であるAerodromeを積極的に利用しているユーザー」です。

以下の活動は、あなたのウォレットが「質の高いユーザー」であることの証明となり、将来Base上でローンチされる無数のプロジェクトからエアドロップ対象と見なされる可能性を劇的に高めます。

• ① スワップ（交換）：定期的にAerodromeでトークンを交換する。
• ② 流動性提供（LP）：様々なプールに資産を預け、LPになる。
• ③ AEROロック＆投票：AEROをロックしてveAEROを取得し、毎週のガバナンス投票に参加する。これが最も強力な貢献の証となります。

すでに、新しいプロジェクトがエアドロップの基準に「Aerodromeでの活動」を含める動きが始まっています。Aerodromeは、エアドロップを「もらう場所」ではなく、未来のあらゆるエアドロップを「釣り上げるための最強の釣り竿」なのです。

Aerodrome Financeは、単なるDEXではありません。それは、Coinbaseという巨人に支えられ、Baseエコシステムの成長と運命を共にする経済プロトコルです。

その洗練された「ve(3,3)」モデルは、参加者全員に利益をもたらす強力なエンジンとして機能し、すでに王者Uniswapを凌駕するパフォーマンスを見せています。

私たちユーザーにとって、Aerodromeは高い利回りを得るだけの場所ではありません。Base経済の方向性を決めるガバナンスに参加し、その成長の果実を直接享受し、そして何より、これから訪れる無数のエアドロップチャンスを掴むための、最も重要なパスポートとなるでしょう。

Baseの将来性を信じるのであれば、その心臓部であるAerodromeを理解し、今日から少しでも触れてみること。それが、未来の大きなリターンに繋がる最も賢明な一歩となるはずです。