GRVTとは|CEXの速さとDEXの自己管理を両立する取引所
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目次
たいていの分散型取引所では、誰のどんな建玉も板に丸見えのまま約定します。GRVT(読み:グラビティ)はそこを反転させ、取引の中身をブロックチェーンに晒さずに正当性だけを証明しながら、資産は自分の手元に残したまま板取引できるハイブリッドな暗号資産取引所です。$GRVTはまだ発行されておらず、いまはSeason 2でポイントを貯めると、締め切り直後のトークン配布で按分される段階にあります。
GRVTとは何か
GRVTは、zkSyncのZK Stackで構築した専用チェーンの上で、無期限先物(パーペチュアル, perps)を自己管理(self-custody)のまま売買できる取引所です[1]。資産は常に利用者側に置いたまま、マッチングはオフチェーンで高速にこなし、決済と残高の検証だけをオンチェーンで行います。本拠はシンガポールです[2]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チェーン | zkSync ZK Stack の専用 Validium L2 |
| カテゴリ | ハイブリッド型 perp DEX |
| ステージ | メインネット稼働中(2025年1月〜) |
| 主な機能 | 板取引・最大50倍レバ・運用Vault・証拠金イールド |
| 基軸通貨 | USDT 等のステーブルコイン |
| 資金調達 | 2025年9月 Series A 1,900万ドル |
最大50倍のレバレッジ、分離・クロスマージン、TP/SLといった注文機能やガスレス取引は、この分野なら標準装備として揃っています。土台は一通り整っているとみてよく、判断の焦点はその上に乗る秘匿設計とエアドロの期待値に移ります。
なぜ元ゴールドマンの3人がGRVTを作ったか
GRVTの設計思想は、創業した3人の経歴と地続きです。共同創業者でCEOのHong Gyu Yea(ホン・ギュ・ヨ)は、Credit SuisseとGoldman Sachsで約10年トレーダーを務めるなかで、機関投資家だけが触れられる戦略やツール——本人いわく「壁に囲まれた庭(institutional silos)」——を外から見続けてきました[13][14]。「機関のサイロの外に届かない優れたツールや戦略を見てきた。一方でDeFiはスケールに必要なリスク管理・性能・コンプライアンスを欠いていた。両方を組み合わせれば金融を万人に開放できると気づいた」と本人は振り返ります[13]。
動き出す引き金は2022年でした。「バルセロナの暗号資産カンファレンスで業界の専門家に会い、伝統的金融の知見が欠けている市場のギャップに気づいた」と本人は語ります[12]。同年11月のFTX破綻はその問題意識を決定づけ、「FTXが我々のテーゼを結晶化させた。中央集権のカウンターパーティはシステム全体の単一障害点だ」と述べています[13]。資産を預けずに板取引するというGRVTの核は、この確信から来ています。CTOのAaron OngはMetaでデータプライバシー基盤を率いた技術者で、取引内容を晒さないValidium設計はこの経歴と噛み合い、COOのMatthew QuekはシンガポールのDBSでブロックチェーン施策を主導しました[14]。
チームが掲げるのは、トップのヘッジファンドだけが使えてきたプライムブローカレッジ(機関級の資本効率ツール)をオンチェーンで再現し、「普通の人々が世界トップのプロと並んで透明に取引・投資し富を増やせる」基盤にすることです[14]。一部メディアはこれを「ブロックチェーン版ゴールドマン・サックス」と評しますが、これは媒体側の表現で本人の言葉ではなく、社名GRVT(グラビティ)の由来も公開されていません。
取引内容を晒さずに速さを保てるのか
保てるかどうかは、データを公開せずに正しさだけを証明できるかにかかります。GRVTの核は、取引データをブロックチェーンに公開しないValidium型のL2を専用チェーンとして動かす点にあります[3]。建玉や残高が公開される通常の分散型取引所では誰でも他人のポジションを読めるため、機関投資家はフロントランや手の内の漏洩を嫌い、かといって速い中央集権取引所は資産の保管を預ける必要があります。この「速さ・自己管理・取引内容を晒さない」の三つを同時に満たすのは、データの可用性と検証可能性、秘匿性の板挟みが厳しく、技術的に難しい領域です。
GRVTは取引明細をオフチェーンに保持したまま、各バッチをゼロ知識証明(ZK証明)でEthereum上で検証し、L1の安全性を借りつつ残高や取引内容そのものは外に出しません。資産の保管と取引機能を切り離すため、資産は常に利用者の側に残ります。秘匿と自己管理を保ったまま板取引の速さを落とさない設計は機関的な使い手には今すでに効く差別化ですが、それが一般利用者の体感メリットに変わるかは出来高と板の厚みが育つか次第で、今は潜在的な強みにとどまります。
さらにGRVTは単なる取引所に留まらず、遊休証拠金をAave連動の利回りに接続するONE Balanceや、検証済みオペレーターが運用するVault(Strategies)を備え、取引・投資・利回りを一つの残高で完結させる方向へ広げています。この半年の動きも取引所機能そのものよりこの運用・利回り側の拡張に重心があり、Season 2開始以降にTVLは1,130万ドルから1億710万ドルへ、建玉は1,160万ドルから4億8,410万ドルへ伸びたと公表されています[5]。
| 日付 | できごと | 出典 |
|---|---|---|
| 2026-05-26 | Plumeと提携しRWAトークン化利回りファンド3本(Base Yield/Balanced/Opportunistic)を提供開始 | [11] |
| 2026-05-14 | Centrifuge連携で米国債ベースの利回り戦略を追加 | [7] |
| 2026-03-13 | Rewards Season 2.0開始・配分28%へ拡大・TGEはSeason2終了後(一部報道Q3 2026)と公表 | [5] |
| 2026-02-26 | AaveをONE Balanceに統合し遊休証拠金で最大約11%利回り | [8] |
| 2025-09-19 | Series Aで1,900万ドル調達(ZKsync・Further Ventures・EigenCloud・500 Global が共同リード) | [2] |
$GRVTの供給と配分はどうなっている
総供給は10億で固定、追加発行はありません。$GRVT自体はまだ発行されておらず、トークン生成イベント(TGE)はSeason 2終了(2026年6月30日)後に予定され、報道では「6月30日直後」とも「Q3 2026」とも伝えられます[4][5]。具体的な配布日・換算率・上場先は公式の最新告知待ちです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ティッカー | GRVT |
| 状態 | 公開市場価格・上場条件は未確定(TGEはSeason2終了後予定) |
| 総供給量 | 10億(固定・追加発行なし) |
| 配分(報道ベース) | コミュニティ28%(Season2 18%+その他10%)/投資家19.9%/チーム19%/将来配布・Rewards33.1% |
| 主な用途 | 手数料割引・証拠金効率・Vault高配分・APY向上 |
コミュニティ配分は従来の22%から28%へ拡大され、Season 2参加者へ最も厚い枠が割り当てられます[5]。供給が固定でコミュニティ枠が厚い点は前向きに読める一方、投資家・チーム・将来配布枠の比率は報道ベースにとどまり、各枠のロックアップやTGE時の初期流通量は公式に未確定です[9]。初期に出回る量と放出スケジュール次第で価格は大きく振れるため、配分表の数字だけで安心せず公式確認が要ります。
GRVTのエアドロは結局もらえる?
もらえる前提はあるものの、いくら受け取れるかは確定していません。GRVTは公式にエアドロを掲げており、Rewards Season 2.0(2026年3月13日〜6月30日)で獲得したGrvtポイントの比例で、TGE時に$GRVTが配分されます[6]。ポイントは取引高が週次の50%、紹介20%、建玉の維持15%、入金TVL・流動性提供・清算がそれぞれ5%という配点で、毎週固定のプールを活動量に応じて山分けする仕組みです。BTC・ETH・SOL以外のアルトコイン取引はポイントが2倍になりますが、配分はあくまでポイント比例で、自分の取り分が事前に確定するわけではありません。
参加はアカウント登録から数ステップで完了し、活動に応じてポイントが乗ります。
- GRVT公式サイトでアカウントを登録します。ウォレットログイン(EIP-712署名)に対応し、登録時に紹介コードを入れると取引手数料が10%オフになります。
- USDT等の証拠金を入金します。資産は自己管理ウォレットに保持したまま取引でき、遊休分はONE BalanceでAave連動の利回りを得られます。
- 取引・建玉維持・紹介・流動性提供などで活動し、週次ポイントを積み上げます。アルト取引は2倍に効きます。
- Season 2.0は6月30日に終了し、その後のTGEで累積ポイント比例に配分されます。
Hyperliquid・edgeXとの差
同じperp DEXでも、最大手と設計思想も規模も大きく異なります。約定の置き場所・取引内容の公開範囲・資産の管理という構造軸で見ると性格の違いが分かり、出来高で見ると規模の差がそのまま出ます。下の数値はCoinGeckoの派生取引所データで全列を同一定義に揃えたものです(2026年6月29日時点)[10]。
| 項目 | GRVT | Hyperliquid | edgeX |
|---|---|---|---|
| 約定の場所 | オフチェーン高速マッチング | 独自L1上のオンチェーン板 | オンチェーンの板約定 |
| 取引内容 | Validiumで秘匿(ZK証明) | オンチェーンで公開 | オンチェーンで公開 |
| 資産の管理 | 自己管理 | 自己管理 | 自己管理 |
| 24h出来高(USD) | 約10.8億ドル | 約44.9億ドル | 約6.5億ドル |
| 上場perpペア数 | 168 | 365 | 83 |
数字で見ると、GRVTの24時間出来高は最大手Hyperliquidのおよそ4分の1で、銘柄数も半分以下です。一方で同じく後発のedgeXより出来高は上回り、銘柄数は倍近くを揃えています。透明性を売りにするHyperliquidやオンチェーン板を載せるedgeXとは反対に、GRVTは「取引内容を晒さない」ことに寄せた設計で、秘匿志向ではParadexとも近い立ち位置です。機関の使い手をどこまで取り込めるかが伸びの鍵になります。
触る前に確認すべきリスク
最も重いのは、未上場ゆえの価格の不確定さです。$GRVTはまだ発行されておらず、TGE時の流通量や上場先・初値も決まっていません。Season 2.0の締切は2026年6月30日で既に締め切られており、積んだポイントで最終的に受け取れる価値はTGEまで読めません。配布内容が判明する前に、換算率を先取りしたつもりで無理な取引高を作りにいくと、コストと損失がポイントの期待値を上回りかねません。
次に高レバレッジ取引そのものの危険です。最大50倍では、わずかな逆行で証拠金維持率が割れて強制決済(清算, リクイデーション)に至ります。板が薄い銘柄やアルト2倍を狙った無理な建玉は、約定価格のずれ(スリッページ)や急変時の滑りで想定以上の損になりやすく、ポイント目的での過大なポジションは本末転倒です。
最後に設計と規制の前提です。Validiumは取引データをオフチェーンに保持するため、データを保管・提供する側(オペレーターやデータ可用性委員会)への依存が残り、ここが止まると引き出しや検証に影響しうる点は通常のオンチェーンDEXと異なります。本拠はシンガポールとされますが、MAS等の規制上の扱い・対象地域・日本居住者からの利用可否や税務は断定できないため、利用前に必ず公式Termsと最新のキャンペーン条件で確認してください。
👉 GRVT公式でSeason 2の条件と対象地域を確認する
編集部の評価:いま触る価値はあるか
設計の鋭さと規模・不確定さのギャップが、そのまま評価に出ます。GRVTの「取引内容を晒さない自己管理の板取引」という設計の鋭さは本物だと見ています。機関が嫌うフロントランや手の内の漏洩を速度を落とさずに正面から解いており、Aave・Centrifuge・Plumeと運用側を実際に積み増している事実がそれを裏づけます。ここが触る一番の理由です。触らない側で最も重いのは規模で、出来高はまだ最大手に大きく劣り、秘匿の優位が一般利用者の体感に変わるのは流動性が育ってからです。次に警戒すべきはトークンの不確定さで、未発行のため配布額も初値も読めません。やめどきははっきりしていて、Season 2終了後にTGEがずるずる延期される、あるいは直近の出来高・建玉が伸び悩む、このどちらかが見えたら配布狙いの工数は引き合わなくなります。結びは層で変わります。板の速さと秘匿を重視する経験者なら少額で約定と板の質を試す価値があり、配布狙いの人はSeason 2.0(6月30日締切)分の結果とTGE条件が出るのを待つ局面で、個別額が読めない以上、次の機会を狙うにしても無理なレバで回転を上げるのは勧めません。$GRVTを資産として買いたい層は、未発行の今は買えず、上場条件と流通量が見えるTGE後の判断で遅くありません。
よくある質問
GRVTのエアドロはいつもらえますか。
Season 2.0が2026年6月30日に終わり、その後のTGE(報道では6月30日直後〜Q3 2026)で累積ポイント比例に配分される計画です。配布日・換算率・上場先は確定値ではなく、公式の最新告知を確認してください。
$GRVTは今いくらで買えますか。
まだ発行されていないため購入できません。価格や上場先はTGE時に決まる予定で、現時点で出回っている価格情報は非公式とみてください。
日本から使えますか。いくらから始められますか。
本拠はシンガポールとされますが、MAS等の規制ステータスや日本居住者の利用可否は公式Termsで確認が必要です(断定はできません)。最低額の明確な規定はありませんが、清算リスクを踏まえ余剰資金で少額から試すのが無難です。
ポイントを効率よく貯めるコツはありますか。
配点上は取引高が最大の50%で、アルトコイン取引は2倍になります。ただし手数料と清算リスクが利益を削るため、ポイント目当てに回転を上げすぎないのが結局は近道です。
まとめ
GRVTは、板取引の速さと自己管理を保ったまま「取引の中身を見せない」ことに賭けた、機関志向のオンチェーン取引所です。読み筋はシンプルで、設計の独自性という強みと、出来高・トークンの不確定さという弱点のどちらを自分が重く見るかに尽きます。締切の6月30日を一つの区切りに、自分が「速さと秘匿の利用者」なのか「配布狙い」なのかを決めてから動くのが、遠回りに見えて確実です。
出典
- The Block(2025年)— https://www.theblock.co/post/371347/zksync-based-hybrid-dex-grvt-raises-19-million-series-a
- CoinDesk(2025年)— https://www.coindesk.com/business/2025/09/19/grvt-raises-usd19m-to-bring-privacy-and-scale-to-on-chain-finance
- GRVT Blog(2025年)— https://grvt.io/blog/why-zksyncs-zk-stack-series-part-2-trustless-and-privacy-with-validium/
- zyCrypto(2026年)— https://zycrypto.com/grvt-sets-grvt-token-launch-for-q3-2026-expands-community-airdrop-to-28/
- The Block(2026年)— https://www.theblock.co/post/393389/hybrid-crypto-exchange-grvt-targets-post-june-token-launch-raises-community-allocation-to-28
- GRVT Help(2026年)— https://help.grvt.io/en/articles/12332040-rewards-season-2-0
- Invezz(2026年)— https://invezz.com/news/2026/05/14/grvt-expands-wealth-platform-with-centrifuge-yield-integration/
- Invezz(2026年)— https://invezz.com/news/2026/02/26/grvt-integrates-aave-yield-into-perp-dex-collateral-on-zksync-stack/
- Cryptopolitan(2026年)— https://www.cryptopolitan.com/grvt-boosts-community-token-allocation-to-28-ahead-of-grvt-token-launch/
- CoinGecko(2026年)— https://www.coingecko.com/en/exchanges/grvt_futures
- FinanceFeeds(2026年)— https://financefeeds.com/grvt-taps-plume-to-bring-rwa-yield-products-onchain/
- DLNews(2025年)— https://www.dlnews.com/research/internal/a-conversation-with-hong-yea-co-founder-and-ceo-of-grvt/
- Bitget News(2026年)— https://www.bitget.com/news/detail/12560604745982
- GlobeNewswire(2025年)— https://www.globenewswire.com/news-release/2025/09/19/3153051/0/en/Grvt-raises-19m-to-pioneer-privacy-first-onchain-finance-and-unlock-trillion-dollar-markets.html
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この記事を監修した人

新井 進悟
株式会社ロクブンノニ 代表取締役
2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。
