Arcエコシステム徹底解説|いま使えるアプリ・日本からの始め方・ARCトークンの現状

目次

Arcは、USDCを発行するCircleが開発したステーブルコイン向けのブロックチェーンです。メインネットは2026年9月16日に一般公開され、USDCの持ち込みからスワップ、預け入れ、先物取引までがすでに動いています。

ただし、公式が公表した参加企業の一覧は「動いているもの」と「これから対応するもの」を分けていません。個人が自分の手で触れるのは、その一部です。

※記事中の数値と稼働状況は、2026年9月17日16時(日本時間)時点のものです。

Arcとは|公開直後にもう使えるのか

Arcは手数料をUSDCで払うチェーンで、ETHのようなガス代専用の通貨を用意する必要がありません。公式ブリッジと主要なDeFiアプリは、誰でも使える状態です。

項目内容
開発元Circle(USDC・EURCの発行体)
メインネット公開2026年9月16日
取引の確定1秒未満(公式サイトの説明)
創設バリデータBlackRock、Visa、Mastercard、SBI Group、住友商事など11社

公式のエコシステムページには134社が載っていますが、大半は銀行、決済事業者、カストディ、開発者向けのインフラです。個人が直接使う製品を持つ企業は、編集部の分類で32社でした。このページには稼働状況の表示がなく、すでに動いているUniswapとOpenSeaは載っていません。使えるかどうかは、各アプリの画面で確かめる必要があります。

日本からはSBI Groupと住友商事が創設バリデータに入っています。ただし、Arc上の個人向けサービスはどちらからも発表されていません。チェーンの設計はArcの解説記事にまとめています。

いま触れるアプリと、まだ触れないアプリ

スワップ、預け入れ、先物取引、NFTの売買は、各アプリの公式画面から実行できます。

アプリできること状態
Uniswapトークンのスワップ稼働
XyloNetスワップ、他チェーンからのブリッジ、Xのアカウント宛の送金稼働
Synthraスワップ、流動性の提供、ローンチパッド稼働(無期限先物はArcの外で執行)
MorphoUSDC・EURCの預け入れ稼働(大口Vaultの利回りはほぼ0%)
Aave ProUSDCなど4資産の預け入れと借り入れ稼働(借り手がほぼいない)
edgeX無期限先物Arc口座の受付と入出金画面が稼働
Hibachi無期限先物とFX既存の取引所がArcでの入出金に対応。Arc専用版は未開始
OpenSeaNFTとトークンの売買稼働
Aeroスワップ、流動性の提供簡易版の「Aero Lite」が稼働
Maple(syrupUSDC)利回り付きトークンアプリでArcを選べず、入手手順は未公表
Tower Exchangeステーブルコインのスワップスワップを停止中

スワップとNFTの売買:Uniswap・Aero・XyloNet・Synthra・OpenSea

Uniswapでは、ネットワークの選択肢にArcが加わりました。USDCとEURCをそのまま交換できます。交換の前に、画面に出る受取額を確認してください。

画像:Uniswapのネットワーク選択(2026年9月16日撮影)

Aeroは、AerodromeとVelodromeを統合する新ブランドです。簡易版の「Aero Lite」がArcで動き出し、app.aero.xyzからスワップと流動性の提供ができます。扱える銘柄は一部に限られます。aerodrome.financeはBase向けのままなので、Arcで使う場合はapp.aero.xyzから開いてください。移行をうたう別サイトには接続しないでください。

XyloNetはArc発のアプリです。スワップのほか、他チェーンのUSDCをArcへ運ぶブリッジと、Xのアカウント宛にUSDCを送る「PayX」が使えます。メインネット版のサイトにポイントの入口はなく、公開された監査レポートも見当たりません。

Synthraも稼働しています。Arc上で動くのはスワップ、流動性の提供、ローンチパッドの3つです。画面にある無期限先物は、公式ドキュメントによるとHyperliquidで執行されます。預かり資産は約5万ドル(DefiLlamaの集計)と小規模です。

Synthraの公式ドキュメントとサイトに、自社トークンの記載はありません。Arc上でSYNを名乗るトークンを見かけても、公式のものと見なす根拠はありません。

OpenSeaでは、ArcのNFTコレクションが売買されています。記念コレクション「Arc x OpenSea: The Arc Begins」は約54万点が無料で配られてミントを終えており、出品価格は数セント以下です。

預け入れ:MorphoとAave|利回りはまだほぼ0%

MorphoのVaultには、合計で約1億5,000万ドルが預けられています。これに対して借入は約140万ドルで、最も大きい市場の稼働率は1%未満です。貸し出されていない資金に利息は付かないので、GalaxyやKeyrockがキュレーターを務める大口Vaultの表示利回りは0%前後のままです。

Aaveの入口は、従来のapp.aave.comではなくAave Proです。預入の約7,700万ドルに対して借入はごくわずかで、こちらも利回りは実質0%です。

画像:Aave ProのArcハブ。数値は公開当日のもの(2026年9月16日撮影)

預ける前に、各Vaultや市場の画面でAPYの欄を確認してください。

先物とFX:edgeXとHibachi

edgeXはArc向けのページでArc口座の受付を始め、入金・出金・残高のパネルを表示しています。ページ上部では、登録・入金・取引を対象にした報酬キャンペーン「edgeX Arc Genesis」を告知しています。

一方、edgeXの既存の口座で入出金に使えるネットワークに、Arcは加わっていません。

Hibachiは、Arc専用のFX取引所を作る計画を発表していますが、まだ始まっていません。いま使えるのは既存の取引所で、USDCの入出金先にArcが加わり、円の値動きを取引するJPY/USDT-Pなどの市場が動いています。

Hibachiの規約が利用を禁じているのは、米国と英国の居住者と、規約が定める制限地域の居住者です。日本は名指しされていません。

まだ触れない:Maple・Tower Exchange

MapleのsyrupUSDCは、公式ドキュメントにArc版のアドレスが載り、発行量も増えています。ただしMapleのアプリではArcを選べず、個人が入手する手順は公表されていません。

syrupUSDCは、機関向け融資の利回りを受け取るトークンです。Mapleのドキュメントには、Circleとの正式な関係はなく、USDCに裏付けられたトークンでもないと書かれています。

Tower Exchangeは、メンテナンスを理由にスワップを止めています。ネットワークの表示もテストネットに戻っています。画面の表示は「一時停止」ですが、再開の時期は書かれていません。

画像:Tower Exchange(2026年9月17日撮影)

Arcの始め方|日本からUSDCを運ぶ手順

国内の取引所からArcへUSDCを直接送れる経路は、発表されていません。SBI VCトレードで買ったUSDCをイーサリアムで出庫し、Circle公式のUSDC BridgeでArcへ移すのが現実的な経路です。

画像:USDC Bridge(2026年9月16日撮影)

  1. SBI VCトレードで口座を開き、日本円でUSDCを買います。販売所のスプレッドは約0.352%と報じられています。
  2. MetaMaskなど自分で管理するウォレットのアドレスを出庫先に登録し、USDCをイーサリアムで出庫します。出庫手数料は無料で、上限は1回100万円相当です。
  3. 次の手順ではイーサリアム上で署名するため、ガス代用のETHも少額出庫しておきます。
  4. USDC Bridgeでウォレットを接続し、送金元にEthereum、送金先にArcを選びます。
  5. Arc側の受け取り処理は、Circleの転送代行サービスが行います。

手数料は3つあります。ブリッジが使うCircleのCCTPは、Standardが無料、Fastがイーサリアム発で送金額の0.01%です。Arc側の受け取り代行の手数料は、届くUSDCから差し引かれます。USDC Bridgeの規約は、Circleが別にブリッジ手数料を課せるとも定めているため、実際の金額は送金前の画面で確認してください。

ウォレットにArcを手入力する場合は、Arcの公式ドキュメントに載っているチェーンID(5042)とRPCの値を使ってください。TelegramやSNSで配られる非公式の接続先は使わないでください。

公式ブログの対応ウォレット一覧に名前があっても、Arcを選べるとは限りません。手持ちのウォレットでArcが表示されるかを、先に確かめてください。

Circleは、カードでの入金やスワップを1つの画面にまとめた「Arc Portal」(portal.arc.io)も公開しました。ただし公式サイトは「提供状況は国や適格性によって異なる」と書くだけで、日本から使えるかどうかは示していません。

Circleが対応取引所に挙げるKrakenとUpbitは、日本の居住者には使えません。Krakenは日本を利用禁止地域に指定しており、Upbitは日本で登録を受けていません。

円建てのステーブルコインを、Arcで使える状態は確認できていません。Circleはステーブルコイン同士の両替サービス「StableFX」の対象にJPYCを挙げていますが、表現は「稼働中または導入準備中」で、どちらなのかは示されていません。StableFX自体も、使えるのは審査を通った機関だけです。

USDC BridgeでArcへUSDCを移す

ARCトークンとエアドロップはあるのか

ARCトークンは9月16日にミントされましたが、市場には出ておらず、利用者に配る時期・対象・条件は発表されていません。「エアドロップ確定」と言える材料は、公式の発表にはありません。

項目現状
発行初期供給の全量にあたる100億ARCをミント済み
市場での取引なし。公式ブログは「ARCトークンはローンチされていません」と記載
配分の目安(白書)エコシステム60%、Circle 25%、長期準備金15%
利用者への配布時期・対象・条件とも未発表
Arcの手数料引き続きUSDC。Arcを使うのにARCは要らない

Circleは今回のミントを「ARCを公開ローンチするという約束ではなく、2027年の合意形成方式の移行を探るための技術的な節目」だと書いています。

白書は、ARCの大半をネットワークを構築・利用・貢献する参加者に配るとしています。ただし、その手段にはトークン販売や開発者への助成も含まれ、エアドロップという言葉や受け取りの条件は書かれていません。配分や報酬の設計は暫定で、実施されない可能性もあるとしています。

コミュニティサイトArc Houseの貢献者プログラム「Architects」にはポイントがあります。ただし規約は、第22条でポイントによるトークン配布の約束や受け取りへの期待を否定し、第8条でポイントに現金価値はないと定めています。

ポイントを出しているのは、各アプリの側です。Hibachiは現行の取引所でポイント制度「The Playoffs」を続けており、Tolly LabsやArcPadなどのローンチパッドも自社ポイントを出しています。いずれも、将来トークンが配られる保証にはなりません。

偽物の見分け方とローンチパッドの実態

Arcでは、USDCやCircleの名前を使った無関係のトークンが出来高の上位に入っています。本物かどうかはティッカーでは判断できず、コントラクトアドレスで確かめるしかありません。

ローンチパッドは誰でもトークンを発行できる場

Arcのローンチパッドは、誰でもトークンを発行してUSDC建てで売買できるサービスです。最も活発なTolly Labsでは、公開からの累計で約2万1千のウォレットが約2,600万ドルを売買しています。

画像:Tolly Labsの銘柄一覧(2026年9月16日撮影)

主要なローンチパッドはどれも運営者が匿名で、Arc公式のエコシステムページにも載っていません。Tolly LabsとArcPadはコントラクトのアドレスを公開していますが、第三者の監査レポートは公開していません。ArcPadは9月16日時点で、未監査だと自ら書いています。どちらも管理者の権限は1つのウォレットが持っています。

発行時に流動性をロックする設計のローンチパッドもあります。それでも、発行者や先に買った人はトークンを売れます。ロックは値下がりを防ぐ仕組みではありません。

名前に「circle」を含むローンチパッドのWarp(circlewarp)も、Circleの発表には載っていません。

偽物の見分け方

見かける名前・主張実体
Arc上の「USDC」という名前のトークンローンチパッドで発行された別のトークン。出来高の上位に入り、顔ぶれは日替わりで変わる
Arc上の「CRCL」「NVDA」などのトークンCircleやNVIDIAが発行を公表したものではない
Arc上の「JPYC」を名乗るトークン3件あるが、保有者はいずれも1〜2人。どのアドレスが正しいかは公式に示されていない
CoinGeckoやKuCoinに載る「ARC」AI Rig Complex(Solana)やarc.aiなど、同じティッカーの別プロジェクト。CircleのARCは取引所に上場していない
OpenSeaで「The Arc Begins」に似た名前のコレクション紛らわしい名前の別コレクションが規約違反の疑いで削除された。本物のページはopensea.io/collection/the-arc-begins
「$ARCのエアドロは確定」とする投稿、資格チェッカー、「Arc Bridge」を名乗るサイト公式ブリッジはbridge.usdc.com。ウォレットを接続すると資産を抜かれる危険がある

本物のアドレスは次のとおりです。それ以外のトークンは、各プロジェクトが公式サイトや公式Xで公表したコントラクトアドレスと照らし合わせてください。

  • USDC: 0x3600000000000000000000000000000000000000
  • EURC: 0xbEf5f6d51CB62b58e6A8f77868681825C6fe21c1

Arc公式エコシステムページで掲載企業を確認する

まとめ

Arcでは公開直後から、USDCの持ち込み、スワップ、預け入れ、先物取引を個人が使えます。ただし預け入れの利回りはまだほぼ0%で、MapleとTower Exchangeは操作できません。ARCトークンの配布は時期も条件も発表されていないので、エアドロップをうたう勧誘や同名のトークンは、アドレスと公式サイトで確かめてから判断してください。

出典

  1. Arc公式ブログ・メインネット公開(2026年)
  2. Arc公式プレスリリース(2026年)
  3. Arc公式ドキュメント・接続情報(2026年)
  4. Uniswap・Arcのトークン一覧(2026年)
  5. Synthra公式ドキュメント(2026年)
  6. DefiLlama・Arcの集計(2026年)
  7. OpenSea・The Arc Begins(2026年)
  8. Hibachi・ArcのFX取引所構想(2026年)
  9. Hibachi・利用規約(2024年)
  10. Aero公式サイト・Aero Liteの告知(2026年)
  11. Maple公式ドキュメント(2026年)
  12. SBI VCトレード・USDCの取扱い(2026年)
  13. Circle・CCTPの手数料(2026年)
  14. Circle・USDC Bridge利用規約(2026年)
  15. Kraken・利用制限地域(2026年)
  16. Circle・StableFX(2026年)
  17. Circle・ARCトークンのホワイトペーパー(2026年)
  18. Arc House・Architects規約(2026年)
  19. Tolly Labs・取引の集計(2026年)
  20. ArcPad公式ドキュメント(2026年)

免責事項

  • 本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
  • 本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
  • 本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。

この記事を監修した人

新井 進悟

新井 進悟

株式会社ロクブンノニ 代表取締役

2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。

DeFiブロックチェーン技術仮想通貨市場分析Web3プロダクト