KOR Protocol|IPをオンチェーンで清算する仕組みとエアドロ準備
- 対象期間
- 進行中
- タスク
- 対応チェーン
- カテゴリ

目次
KOR Protocolは、音楽や映像といった作品のIP(知的財産)を、登録から権利の検証、流通、収益の分配まで、まとめてオンチェーンで扱えるようにするプロトコルです。土台はBase(CoinbaseのL2)に置かれています。
$KORトークンはまだ発行されていないので、いま見るべきは配布の期待値ではなく「その前に、この仕組みを触る理由があるか」の一点です。
KOR Protocolとは|IPを清算する「クリアリングハウス」
KOR Protocolは、作品のIPをオンチェーンに載せ、誰の権利で・どう使われ・いくら分配するかまでを1つの土台で回す仕組みです。運営はこれを「クリエイティブ資産のクリアリングハウス(清算所)」と呼んでいます。
作品を登録し、ライセンス条件を作品そのものに紐づけ、取引が起きるたびに権利者へ自動で収益を分ける。従来は契約書と仲介者に頼っていたこの一連を、機械が読める形でオンチェーンに落とし込むのが狙いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チェーン | Base(Coinbase発のEthereum L2) |
| カテゴリ | オンチェーンIP(作品の権利登録・ライセンス・自動分配) |
| ステージ | 製品稼働中・$KOR未発行(pre-TGE)/KOR Scoreクエスト実施中 |
| 資金調達 | Series A実施済み(2026年7月7日発表・詳細は「チーム・投資家」節) |
発表時点で運営は、累計サインアップ100万人超、接続ウォレット40万、IPパートナー1,000社超、累計グロス収益200万ドル超を公表しています。
権利・分配・清算までアセットに埋め込む設計
KORの中身がふつうのNFT発行と違うのは、所有の記録で止めず、権利と分配と清算まで作品自体に持たせている点です。
OpenSeaのような一般的なマーケットプレイスは、誰が持っているかという所有権の表現までを扱います。KORはその先、どんな条件で使ってよいか(ライセンス)と、使われたらいくらを誰に渡すか(分配)を、作品というアセットに直接くくりつけます。
具体的には、作品をIP Asset(ERC-721)としてDNA Asset Registryに登録します。ここでISCC(ISOが承認したコンテンツ識別子)とKOR独自のメタデータ標準を使い、その作品を一意に同定します。
さらにToken-Bound Account(ERC-6551)で作品ごとに口座を持たせ、ライセンス条件を作品に埋め込みます。取引が成立すると、SettleエンジンがUSDCで、あらかじめ決めた比率の分配(splits)を自動で実行します。
難しいのは、作品を一意に同定すること(識別子)、権利を法的に表現すること(ライセンス)、分配を自動で実行すること(清算)を、1つの土台で同時に成り立たせる点です。単発のNFT発行やステーブルコイン決済とは、越える壁の種類が違います。
一方で、作品をNFTとして登録することやUSDC決済に対応すること自体は、この分野なら当然そろえてくる装備です。KORの分かれ目は、それらを束ねて「利用の都度、自動で権利者に清算が回るか」を実地の作品でどこまで回せているか、という一点にあります。
将来はAIエージェント向けの規格(ERC-8004・x402・ERC-7683)への対応も予定されていますが、これは対応予定であって今効いている武器ではありません。
なぜ生まれたか|「音楽は自分以外の全てを売る」から
KORの出発点は、創業者Inder Phullが繰り返し語る音楽産業への問題意識です。抽象的な理念からではなく、本人の具体的な原体験から設計に着地しています。
Phullは音楽産業の構造をこう表現します。「音楽は自分自身以外の全てを売る。稼ぐのはマーチャンダイズであって、音楽そのものではない」。作品が値段を付けられず、周辺のグッズばかりが収益になる機能不全が、彼の一貫した出発点です。
きっかけは2つあると本人は語っています。1つは約10年前、著作権や音楽の権利をブロックチェーンで管理すれば変わりうる、と論じた研究論文に出会ったこと。もう1つは約5年前、FortniteがTravis Scottの体験を出したときの気づきです。
「人々はデジタルのアイテムやコンテンツを買っているのに、それを所有していなかった」。この2つが、IPをオンチェーンに持ち込んで作り手が価値を取り戻す、という発想につながりました。
その後Phullは、音楽業界の次世代リーダーを表彰するInternational Music Summit Visionaries(2016年)を受賞します。その縁でdeadmau5(Joel Zimmerman)やRichie Hawtinと出会い、Pixelynxを共同創業しました。PixelynxはAnimoca Brandsに買収され、その系譜で2024年にKOR Protocolを設立しています。
現CEOは2025年末に就任したRitty Quinで、Phullは創業者に回りました。Quinは診断をもう一歩進め、「AIはプロ品質の制作の障壁を数多く取り除いたが、その次に起きること(発見・流通・収益化)は直していない」と語ります。制作の民主化の先で壊れたままの部分を、清算所という形でつなぎ直す。それが現在のビジョンです。最初のパートナーがアーティスト自身だった生い立ちは、公正報酬を掲げる今の姿勢と地続きです。
チーム・投資家と直近の動き|1kxとBlockchain Capitalがリード
裏付けとして、投資家の顔ぶれと創業者の経歴を押さえておきます。$KORが未発行の案件では、投資家の質が期待値の先行指標になります。
2026年7月7日、KORは1kxとBlockchain Capitalがリードする750万ドルのSeries Aを、評価額1億ドルで調達したと発表しました。参加投資家にはRepublic Crypto、Sfermion、Animoca Brands、Solana、Avalanche、Alumni Ventures、SevenXが並びます。資金の使途にはトークンローンチの準備が含まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業者 | Inder Phull(Pixelynx共同創業。2024年にKORを設立) |
| CEO | Ritty Quin(2025年末就任・元ByteDanceのキャリアと報道) |
| リード投資家 | 1kx/Blockchain Capital |
| 参加投資家 | Republic Crypto/Sfermion/Animoca Brands/Solana/Avalanche ほか |
| 調達ラウンド・額 | Series A・750万ドル(評価額1億ドル・2026年7月7日) |
提携先には、Black Mirror(Banijay系)、Beatport、mau5trap(deadmau5のレーベル)、Imogen Heap、KDDIが挙がっています。汎用のオンチェーンIPを掲げるだけでなく、音楽・映像のエンタメIPの実需に軸足を置いているのが読み取れます。
直近の動きは、この調達と同時に公表されたトラクションの数字と、KOR Scoreクエストのシーズン2稼働です。運営はシーズン2について「KORの配分とトークン報酬は追って発表」とだけ述べており、配布の中身はまだ確定していません。
編集部の評価|実需は提携、清算の実力はこれから
KORでいま最も確からしい材料は、Beatportやmau5trap、Black Mirrorといった実在のエンタメIPとの提携です。1,000社超のパートナーは、権利処理の需要が実在することを示す兆候として読めます。オンチェーンIPを掲げる相手が独自L1を選ぶなか、KORがBaseに載せて音楽・映像の実需に寄せた選択は、既存のクリエイターとつなぎやすい方向に働きます。
ただし数字の読み方には留保が要ります。累計サインアップ100万人超は、KOR Scoreのクエストというポイント施策と地続きで、報酬目当ての登録がどれだけ混じっているかは切り分けられません。利用頻度やリピート率も開示されておらず、提携が実際の清算の流れにどこまで変わっているかは、まだ数字で確かめられません。
権利・分配・清算をアセットに束ねる設計そのものは、汎用NFTが扱わない領域に踏み込んでいて、真似しにくい部分です。とはいえそれは「今すでに効いている」というより「効く可能性を持っている」段階の話です。実地の作品でどれだけ自動清算が回ったかという実績は、これからの数字が答えます。
トークンは未発行で、配布方針も「追って発表」の段階です。配布を狙って期待値を計算できる材料はそろっていません。
よくある質問
日本から参加できますか
明示の地域制限は確認できていません。KOR Scoreはサードパーティの解説で誰でも参加可と記載されていますが、対象地域の一次情報は公式ページにあり、そこでの確認が判断の前提になります。
いくらから始められますか
KOR Scoreを貯めるだけなら、ウォレット接続とクエスト消化が中心なので大きな入金は要りません。ただしIPアセットの作成などオンチェーン操作を行う場合は、Base上で少額のETH(ガス代)が必要になります。
$KORはもう買えますか
いいえ。$KORは未発行で、上場もしていません。CryptoRankの価格ページにもライブ価格や時価総額はありません。Series Aの資金使途にトークンローンチの準備が含まれる段階です。
参加方法・始め方|KOR Scoreの貯め方
$KORは未発行で、シーズン2の配分は「追って発表」です。もらえる保証はない前提で、KOR Scoreを貯めつつ製品を触っておくのが、いまの実務的な準備になります。
- Base対応のEVMウォレット(Coinbase WalletやMetaMaskなど)を用意する
- KORの報酬ページにサインインしてウォレットを接続する(接続で25ポイント付与)
- QuestsセクションでアカウントフォローやDiscord参加などのクエストを消化する
- IPアセットの作成や対象dApp・対象NFTの保有でKOR Scoreを加点する
- プロフィール内の紹介コードで友人を招待し、リーダーボードで進捗を確認する
KOR Scoreのポイントが将来そのまま$KORの配分に変換される保証はありません。オンチェーン操作にはガス代がかかり、少額とはいえ実費が出る点は把握しておいてください。
関連リンクは、公式サイト(https://www.korprotocol.io )、KOR Score報酬ページ(https://rewards.korprotocol.io )、開発者ドキュメント(https://docs.korprotocol.io )、公式X(https://x.com/KorProtocol )です。
まとめ
BeatportやBlack Mirrorとの実在提携が示すのは、権利・分配・清算を作品自体に束ねるKORの設計に、需要が実在するという兆候です。それが自動清算の実績としてどれだけ回っているかは、$KOR発行前のいま、これからの数字が答えます。
出典
- The Block(2026年)KOR Protocol raises 7.5M Series A — https://www.theblock.co/post/407465/1kx-blockchain-capital-7-5-million-kor-protocol-series-a-100-million-valuation
- GlobeNewswire(2026年)KOR Protocol Raises 7.5 Million Series A — https://www.globenewswire.com/news-release/2026/07/07/3323545/0/en/KOR-Protocol-Raises-7-5-Million-Series-A-to-Build-the-Creative-Asset-Clearinghouse.html
- KOR Protocol(2026年)Introducing the KOR Protocol — https://korprotocol.medium.com/introducing-the-kor-protocol-19dbfff38c30
- KOR Protocol 開発者ドキュメント(2026年)— https://techdocs.korprotocol.io/
- Entrepreneur APAC(2026年)Inder Phull インタビュー — https://apac.entrepreneur.com/technology/meet-ai-powered-startup-disrupting-the-trillion-dollar/478707
- OpenSea Blog(2026年)In conversation with Inder Phull — https://opensea.io/blog/articles/in-conversation-with-inder-phull-of-pixelynx
- airdrops.io(2026年)KOR Protocol — https://airdrops.io/kor-protocol/
- CryptoRank(2026年)KOR Protocol price — https://cryptorank.io/price/kor-protocol
免責事項
- ・本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
- ・本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
- ・本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。
この記事を監修した人

新井 進悟
株式会社ロクブンノニ 代表取締役
2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。
合わせて読みたい



