Arcus|dYdX×Robinhoodの24/7 DEXを使う理由とエアドロ準備
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目次
Arcusは、dYdX LabsとRobinhood Cryptoが組んで立ち上げた24時間動くオンチェーンDEXです。株式トークンを手数料0で売買できる現物と、最大50倍のRWA無期限先物(perp)を、1つの自己管理ウォレット口座で扱えます。
トークンはまだ発行されていないので、いま見るべきは配布の期待値ではなく「その前に、この製品を使う理由が製品側にあるか」の一点です。
Arcusとは|dYdX×Robinhoodが組んだ24/7の取引所
Arcusは、dYdXがこれまで積んだ取引所の技術と、Robinhoodが持つ大きな顧客基盤を、1つの取引所に束ねたプロジェクトです。
株式トークン95銘柄を手数料0でいつでも売買でき、同じ口座でRWA無期限先物35市場も建てられます。株式・暗号資産・コモディティ・指数がひとつのウォレットに並ぶ形です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チェーン | Robinhood Chain(Robinhood発のEVM互換L2・Arbitrumスタック) |
| カテゴリ | 株式トークン現物 + RWA無期限先物(perp DEX) |
| ステージ | 2026年7月1日ローンチ(現物はベータ開放・perpはウェイトリスト経由) |
| 資金調達 | Robinhood Cryptoが戦略出資(金額は非公開) |
株式トークンは、株そのものを持つわけではありません。原資産を発行体(Robinhood Crypto)が1:1で準備金として保有し、その値動きに連動する契約上のエクスポージャーです。株を直接保有するのとは権利が違います。
なぜ生まれたか|dYdX v4の敗北の総括から
Arcusの出発点は、母体であるdYdX自身の敗北の総括です。抽象的な理想からではなく、「分散化は達成したのに、速さと流通で負けた」という自己批判から作り直されました。
dYdXは無期限先物のDEXを、v4で完全な分散化(200以上の市場、50以上のバリデータ、板ベース)まで持っていきました。ところが分散化そのものは速さや使いやすさを保証しません。
結果として、Hyperliquidのように速さ・単純さ・流動性を優先した相手に、オンチェーンperpの出来高シェアを削られていきます。dYdXはこれを公式に「性能とユーザー体験が犠牲になり、市場は明確に反応した」と認めました。
そこで性能・流動性・UX、そして流通を最優先にゼロから設計し直したのがArcusです。CEOのEddie Zhangは「Arcusは、我々がずっと存在してほしいと願っていた取引所だ。プロと機関に応えつつ、本来なら入れないはずだった何百万もの個人トレーダーに扉を開く」と、誰のために作ったかを一人称で語っています。
dYdX創業者のAntonio Juliano自身はCEOに就かず取締役に回り、買収して迎えたEddieを舵取りに据えました。Arcusのいちばんの武器は新しい機能ではなく「Robinhoodの流通を借りた」という出自そのもので、この背景を知らないと勝ち筋を読み違えます。
Robinhoodの流通を借りた設計と、Spot RFQの約定
Arcusの核心は、性能を上げたことよりも「自前で客を集めない」と決めたことにあります。
オンチェーンでCEX並みの約定と株式トークンの発行・償還を両立させるには、低レイテンシの板とマッチング、現物株の1:1の裏付けと発行体連携、非米国での規制適合の3つを同時に満たす必要があります。
単独のチームだと、最後に流通(客をどう連れてくるか)が最大の壁になります。ArcusはRobinhood Chainという基盤とRobinhood Cryptoの2,500万を超える既存口座の上に載せることで、この壁を正面から越えにいきました。これはdYdX v4が持っていなかったものです。
約定の仕組みも自前の板だけで戦う形を避けています。現物はSpot RFQという方式で、ユーザーが価格をリクエストするとプロのマーケットメイカーが確定した気配を返し、その最良気配が1つのオンチェーン取引としてまとめて決済されます。
無期限先物のほうはdYdX由来のクロスマージンの板とオラクル価格で、最大50倍まで建てられます。クロスマージンやTP/SLといった注文、ファンディングレートは、この種の取引所なら当然そろえてくる装備なので、そこは判断を分ける点ではありません。真似しにくいのは3つの制約を同時に満たしたうえに2,500万口座を載せた束ねかたのほうで、単発の機能を1つずつ比べても勝ち筋は見えません。
使う前に押さえるコスト|手数料・薄い板・清算・地域
使う理由を測る前に、いま実際にかかるコストと詰まりやすい点を先に見ます。
現物の株式トークン取引はローンチ時点で手数料0です。ここは触ってみる理由になります。一方、無期限先物の手数料は執筆時点でかなり高く見えますが、これはベータ初期の暫定値で「まだ最終調整中」と公式が明記しており、額面をそのまま確定料率とは読めません。全7段のティア表は次のとおりです(2026年7月9日時点の実測・暫定値)。
| ティア | メイカー | テイカー | 条件 |
|---|---|---|---|
| Base (L0) | 150bps | 450bps | 初期 |
| Bronze (L1) | 120bps | 380bps | 30日出来高しきい値 |
| Silver (L2) | 80bps | 320bps | 30日出来高しきい値 |
| Gold (L3) | 40bps | 270bps | 30日出来高しきい値 |
| Platinum (L4) | 0bps | 230bps | 30日出来高しきい値 |
| VIP (L5) | -20bps | 200bps | 上位 |
| Max (L6) | -30bps | 190bps | 最上位 |
板の薄さも今の実物です。無期限先物の24時間出来高は、2026年7月14日時点の実測でおよそ293万ドルで、そのうちBTC-USD1銘柄で約47%を占めます。
この値は数日で25万ドルから300万ドルまで大きく往復していて、数銘柄で総額が動くベータ初期のノイズです。実需が育っている証拠とは読めません。 板が薄いと、思ったより不利な値で約定する滑りが出やすくなります。同じオンチェーン会場でも板の厚いedgeXのような取引所と比べると、今のArcusで大きめの注文を出すときの滑りリスクが実感できます。
さらに無期限先物は最大50倍のレバレッジなので、価格が逆に振れれば証拠金が一気に削られ、清算で建玉が消えることがあります。地域の制約も重く、米国・英国・カナダなどの制限地域では利用できません。日本は制限リストに名指しされていませんが、公式に「使える」とも書かれていないので、触る前に必ず自分で確認してください。
編集部の評価|いま効くのは流通、実需はこれから
Arcusで今いちばん確かな実利は、株式トークンを手数料0で24時間売買できる現物のほうです。条件がはっきりしていて、対応地域ならウェイトリストなしで誰でも触れます。無期限先物のほうは、額面の手数料が暫定で高く板も薄いので、いまの出来高で使う理由を語れる段階にはまだありません。
Robinhoodの2,500万口座という流通は、この案件で最も真似しにくい部分です。ただしそれは「今すでに効いている」というより「効く可能性を持っている」段階の話で、実際にその客がArcusで取引に回ってくるかは、これからの出来高が答えます。出来高が数銘柄で往復している現状では、流通の強さはまだ数字に現れていません。
裏付けの点も冷静に見ておく価値があります。株式トークンは株の直接所有ではなく契約上のエクスポージャーで、償還や発行体連携が実際にどこまで滑らかに回るかは、これから使い込まれて見えてくる部分です。dYdX v4の敗北を認めて作り直したという出自は姿勢として信頼できますが、その学びが約定と流動性という数字に変わるまでは、期待を先取りせずに見ておくのが釣り合った距離感です。
よくある質問
日本から使えますか
制限地域として米国・英国・カナダなどは名指しされていますが、日本は明示されていません。ただし公式に「使える」とも書かれていないため、断定できません。触る前に対応地域の表示を自分で確認してください。
いくらから始められますか
現物の株式トークンは手数料0で、少額から試せます。無期限先物は市場ごとに最小の注文額があり、BTC-USDは最小5ドル相当からです。
株式トークンを持てば配当や議決権はありますか
いいえ。連動するのは値動きだけで、株主としての配当や議決権は伴いません。あくまで発行体が準備金で裏付けた価格エクスポージャーで、株の直接保有とは別物です。
参加方法・始め方
トークンについて確定しているのは、Arcusが$DYDXとは別の独自トークンを出すとdYdX FoundationのCEOが認めた事実だけです。配分の比率も時期もTGEも未公表なので、配布(エアドロ)はあくまで結果としてのボーナスと考えるのが妥当な距離感です。そのうえで公式がはっきり示すのは、将来の配分の一部を、dYdXで取引・ステーク・バリデートした人へ優先確保する方針です。無期限先物のウェイトリストの順位は、他会場での過去のperp出来高とRWA出来高、検証済みトレーダーの紹介で決まります。
未発行のいまは、配布を狙うより「対応地域で現物を実際に使い、dYdX実績を積んでおく」のが実務的な準備になります。
- 対応地域から自己管理ウォレットを用意する(米・英・加は不可)
- Arcus公式サイトで現物(Spot Beta)に接続する(ウェイトリスト不要)
- 株式トークンを少額で1回売買し、各トークンの承認と取引の署名の流れを確認する
- 無期限先物を狙うならwaitlist.arcus.xyzでウォレットとXを接続する
- dYdXでの取引・ステークなど実績を積む/保持する(優先配分の対象)
- 公式Xは@arcus_xyzだけをフォローする(偽アカウントの注意喚起あり)
なお発表直後には$DYDXがおよそ20〜23%下落しました。ArcusがdYdX自身のチェーンでなくRobinhood Chain上で動くことへの反発で、既存の$DYDX保有の逆風とArcusへの期待は別物として切り分けて見てください。
まとめ
無期限先物の出来高が数銘柄で日ごとに往復している現状が、Arcusの現在地をそのまま表しています。株式トークン0手数料の現物だけがいま数字にできる実利で、対応地域なら今すぐ触れます。
出典
- dYdX(2026年)『A New Arc』— https://www.dydx.xyz/blog/a-new-arc
- Arcus公式ブログ(2026年)『Arcus x Robinhood: Trade Stocks & Perpetuals 24/7』— https://arcus.xyz/blog/arcus-x-robinhood-trade-stocks-perpetuals-24-7
- Arcus公式ドキュメント(2026年)Spot RFQ / Fees — https://docs.arcus.xyz
- Arcus公式API(2026年)GET /v1/markets ・ /v1/feetiers — https://api.arcus.xyz/v1/markets
- The Defiant(2026年)dYdX launches Arcus DEX — https://thedefiant.io/news/defi/dydx-launches-arcus-dex-stock-tokens-perpetuals-robinhood-chain
- CryptoBriefing(2026年)Arcus DEX launch — https://cryptobriefing.com/arcus-dex-launch-dydx-robinhood/
- Cryptopolitan(2026年)$DYDX drops after Arcus launch — https://www.cryptopolitan.com/dydx-launches-arcus-dex-on-robinhood-chain-as-dydx-token-drops-23/
免責事項
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この記事を監修した人

新井 進悟
株式会社ロクブンノニ 代表取締役
2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。



