Saturn CreditのUSDat・sUSDatとは|利回り17%の原資とエアドロップ条件

目次

ステーブルコインを預けて年17%という表示は、DeFiのドル建て利回りとしては突出して高い水準です。Saturnが変わっているのは、その原資が暗号資産市場の内側ではなく、Nasdaqに上場するStrategyの優先株STRCへ支払われる配当だという点です。

ただし2026年8月20日時点で、利回り金庫トークンsUSDatの1株は0.983341 USDatにとどまり、預け入れ時の1対1をまだ回復していません。

Saturnが置いている賭けは、ドルの利回りを暗号資産の内側の仕組みからではなく、上場企業が株主に払う現金から引いてくることにあります。その代わりに、価格が日々動く証券が元本の裏側に座ります。

USDatとsUSDatはどう役割を分けているか

触るトークンは2種類です。USDatは利回りの付かないドル建てトークンで、これをステークして受け取るsUSDatの側にだけ利回りが乗ります。

項目内容
チェーンEthereum・BNB Chain・Monad
カテゴリステーブルコイン/利回り金庫(上場優先株が裏付け)
ステージメインネット稼働(2026年4月8日に一般開放)
資金調達公表分の合計280万ドル
運営Saturn Holdings Ltd.(英領ヴァージン諸島)
ガバナンストークン未発行(ティッカー・供給量・時期のいずれも未公表)

USDatは公式ドキュメント上、M0のトークン化米国債を裏付けにした許可制のステーブルコインで、そこから生まれる利息は保有者ではなくSaturn側の収益金庫へ流れます。利回りを取りたい人はUSDatをステークしてsUSDatに替え、配当は枚数ではなく交換レートの上昇として返ってきます。

製品何ができるかユーザーとの接点
USDat利回りの付かない許可制のステーブルコイン発行と償還は本人確認が必要。未登録でもCurveやPancakeSwapのプールで売買できる
sUSDatUSDatを預けて受け取るERC-4626の利回り金庫トークン交換レートの上昇で配当を受け取る。PendleやCurveへ回す前提の倍率設計
Saturn Appスワップ・ステーク・ブリッジと、準備金や預かり額の公開ダッシュボードStrategiesタブが倍率の一覧、Insightsタブが準備金と預かりの推移

預かり総額は2026年8月20日時点で1億7,170万ドルで、2026年5月31日の2億4,806万ドルというピークから30.8%減っています。USDatのうちsUSDatへ預け替えられているのは45.74%で、残りは利回りの付かないまま持たれています。

sUSDatに預けると何を払い、何が戻るのか

預け入れに0.10%、解除にもほぼ同率がかかり、配当サイクルを跨がずに抜けると約0.96%が上乗せされます。2026年8月20日にアプリが表示していた年利は17.09%でした。

かかるもの料率補足
sUSDatへの預け入れ0.10%(10bps)実行時に差し引かれる。受け取るシェアの下限を指定できる
解除の処理約0.10%受け取るUSDatの下限を見込む際の目安として公式が明記
早期の解除約0.96%公式ドキュメントが「STRCの配当1サイクル=現行31日」と呼ぶ期間を持ち切っていない分に課す。徴収分は残る保有者へ回る
利回りへのプロトコル手数料10%立ち上げ期の扱いと将来の用途は運営の裁量で変わり得る
USDat償還時の経路コスト0.01%Uniswap V3のプール手数料でSaturnの収受ではない
調査方法: 2026年8月20日、公式ドキュメントが公開するsUSDatのコントラクトへ無認証のEthereum RPCでconvertToAssets(1e18)を照会し、同日の公式APIが返す準備金と預かり額に突き合わせました。1株0.983341 USDatという値は、金庫の総資産を発行済のsUSDat数量で割った結果とも一致します。

画像:Saturn App(Insights)のスクリーンショット(2026年8月20日撮影)

同じERC-4626の金庫でも、SparkのsUSDSは1株が増え続ける形で、Saturnは1株が上下する形です。

2026年8月20日時点Saturn(sUSDat)Spark(sUSDS)
表示年利17.09%3.52%
1株あたりの価値0.983341 USDat1.106812 USDS
裏付けSTRC 99.13%+USDat 0.87%Skyの準備金による貯蓄レート

利回りの数字が5倍近く開くのは、元本の動かない設計と動く設計の差にそのまま対応しています。

表示の年利が何を含むかを定義した公式文書はなく、準備金に記録されたSTRCの配当率は12.0%、公式ドキュメントが掲げる目標は「11%+」です。Forbesは2026年7月28日の記事で、当時のより高い表示利回りについて配当由来は12ポイントで残りはSTRCの価格回復に依存すると指摘しています。

いま受け取れる報酬とOrbital Pointsの条件

プログラムもらえるもの条件・期限
Orbital Points(Season 2・Saturn自社)ポイント。Saturn Foundationは初期供給の最大5%をSeason 2参加者へ配分し得ると記載Ethereum・BNB Chain・MonadでUSDat・sUSDatと派生ポジションを保有。2026年12月8日23時59分(米東部時間)またはTVL10億ドル到達の早い方で終了
紹介ボーナス(Saturn自社)紹介者に被紹介者の適格ポイントの10%、被紹介者に自身のポイントの5%上乗せ1階層のみ。本人確認の完了と成人年齢が条件。期限の定めなし
プロトコル手数料の還元(Saturn自社)利回りに課す10%の手数料を、立ち上げ期は全額sUSDat保有者へ期間の長さは未定

画像:Saturn App(Strategies)のスクリーンショット(2026年8月20日撮影)

倍率は保有の形で大きく変わります。

保有の形倍率
USDatをそのまま持つ5倍
sUSDatをそのまま持つ1倍
CurveまたはPancakeSwapへ流動性を出す25倍
PendleのYT-USDatを持つ30倍(最高)
Strataの劣後側jrUSDatを持つ5倍

公式ドキュメントは、ポイントに金銭的価値も資産請求権も譲渡性もなく、将来のトークンやエアドロップへの権利を与えないと明記しています。米国・EEA・英国・制裁対象法域の居住者は参加できません。

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年17%の利回りは誰が払っているのか

払っているのはStrategyです。sUSDatの裏付けは2026年8月20日時点でほぼ全量がSTRCで占められています。

STRCはStrategyがNasdaqに上場させた累積型の永久優先株です。発行体は年率12.00%の配当を半月ごとに現金で支払うと説明しています。

裏付けがオフチェーンの上場証券である以上、この仕組みはオンチェーンだけでは閉じません。SaturnはSTRC現物を英領ヴァージン諸島のプロフェッショナルファンドで保有し、カストディをClear Street、ファンド事務をSecuritizeに委ねています。

オンチェーン側には自前とChainlinkの2本のSTRC価格フィードを置き、金庫の総資産を「USDat残高+ベスト済みのSTRC×STRC価格」で算定します。受け取った配当は30日かけて交換レートへ流し込む形にして、配当の直前に入って直後に抜ける取り方を潰しています。

先物のファンディングを源にする合成ドルや、国債の利息をそのまま配る型は、板と金利だけで完結します。Saturnはその外側に、証券の保有・価格の反映・二次市場での売却執行という3つの座組みを自前で持つ必要があります。

画像:Saturn App(Insights / Strategy)のスクリーンショット(2026年8月20日撮影)

ただしこの導管の強さは、そのままStrategy一社の信用に寄りかかる弱さでもあります。公式ドキュメント自身が、厳しい市況でStrategyが配当を止めればsUSDatの利回りも止まると書いています。

STRCは累積型なので不履行にはならないものの、配当が再開するまで価格は額面から離れ得るとも書き添えています。

2026年8月20日のSTRC価格は95.2511ドルで、額面100ドルを4.7%下回っています。

同じSTRCをトークン化してラップするApyx Financeも走っており、Protosは第三者集計で約1億3,600万ドル相当と報じています。Chainlink CCIPによる3チェーン展開やCurve・Pendleへの統合は、この分野では前提に近い装備です。

Saturnに資金を置く前に確認すべき危険性

配当が止まる場面だけでなく、出口・タイミング・書面の3つに固有の詰まりがあります。

解除した資金はいつ手元に戻るのか

解除は指値注文に近いキューです。リクエストすると順番を表すNFTが発行され、SaturnがまとめてSTRCを二次市場で売り、確保したUSDatを按分で配ります。

公式の想定は3〜7日で、V2アップグレード後に大幅に短縮すると記載されています。待たずに出るなら二次市場で売ることになりますが、CoinGeckoが示す2026年8月20日のsUSDat価格は0.976346ドルで、同じ日の金庫の内部レートより低い水準です。

いまミントと償還は動いているのか

USDatの裏付けは2026年8月19日11時(米東部時間)から別のM0発行体へ移行中で、完了見込みは2026年8月26日です。移行の第1段階ではミントと償還が止まり、8月20日から26日はミントが再開する一方で償還は完了まで制限され得ると公式が告知しています。

画像:Saturn Appのスクリーンショット(2026年8月20日撮影)

準備データの側でも構成が動いています。2026年8月18日には米国債トークンが100%でしたが、8月20日にはその比率が87.21%へ下がり、PYUSDxが12.79%を占めています。

PYUSDxは、PYUSDを裏付けにしたトークンをM0の基盤で発行する枠組みです。発行体はMoonPay Digital Assets Limitedで、PayPalやPaxosが発行するPYUSDそのものではないとMoonPayが明記しています。

移行の告知は移行先の発行体を名指ししておらず、公式ドキュメントは今も準備を米国債トークン100%と説明しています。

「利用規約」に何が書かれているのか

公式が「Terms and disclosures」として案内するページの中身は、サービスの利用規約ではなく、カナダの個人情報保護法をベースにしたプライバシーポリシーの雛形です。差し替え前のプレースホルダーが残ったままで、準拠法も紛争解決の定めもありません。

実際に条件が書かれているのは紹介プログラムの規約のほうで、こちらは2026年5月11日付、責任の上限は100ドル、紛争は英領ヴァージン諸島の仲裁と定めています。

倍率を追うとポジションはどこまで積み上がるか

単純保有の倍率が低く抑えられ、高い倍率が流動性提供とYT保有に寄せられているため、倍率を追うほど複数のプロトコルにポジションが重なります。Protosは、Pendleで固定利回りを取りMorphoでUSDCを1.59%で借りて回す組み方が年39%級に達したと報じています。

STRCが下げる局面では、この積み上げが強制的な売りの連鎖を生み得ます。

誰が作り、誰が出資しているのか

共同創業者はいずれもペンシルベニア大学の出身です。CEOのKevin Liは、オンチェーン分析のArtemisとParaFi Capitalでリサーチを担当していました。

前職のArtemisが公開したインタビューでは「このアイデアをフルタイムで追いたいと気づいたので、ステーブルコインと利回り型RWAプロトコルを始めるために離れた」と語っています。

項目内容
チームKevin Li(共同創業者・CEO/Artemis・ParaFi Capitalでリサーチを担当)、Ellis Osborn(共同創業者・COO/M31 Capital出身)。プレスリリースはArtemisとM31 Capital出身のエンジニアリング経験を挙げる
投資家The Spartan Group(リード)、Anchorage Digital、Susquehanna Crypto、Ondo Finance、YZi Labs、Sora Ventures
調達2026年5月8日にシード200万ドル、2026年1月にエンジェル80万ドル
提携Chainlink(CCIPと価格フィード)、Anchorage Digital(機関向けカストディ)、Clear Street/Securitize(STRC現物の保管と事務)

2026年8月13日にはOndo Financeが戦略出資し、Ondoがトークン化したSTRC(STRCon)をsUSDatへ組み入れる提携を発表しています。金額・持分・導入時期はいずれも非開示です。

編集部の見解|高い利回りと引き換えているもの

外のキャッシュフローを引いてくるという賭けが成立しているかは、配当が届いたかどうかでは測れません。公式が公表する816,876株にオンチェーンの価格を掛けた額は、公式APIが返す準備金の評価と0.06%差で一致しており、裏付けが実在すること自体は独立に確かめられます。

それでも1株が預け入れ時の水準に戻らないのは、その裏付けが額面100ドルを割った価格で取引される証券だからです。

10ドル以上のポジションを持つ参加者は5,000人超だと公式が公表しており、この下限で預かり総額を割った1人あたり3万ドル台は平均の上限にあたります。高い倍率がCurveの流動性提供とPendleのYT保有に寄せられている以上、報酬が止まったあとも同じ厚みが残る根拠は今のところ見当たりません。

公式ドキュメントは、準備を米国債トークンのみ、STRCの配当を月次と書いたままです。実際の準備データにはPYUSDxが入り、STRCの発行体であるStrategyは2026年7月15日から半月ごとの支払いへ移っています。早期に解除したときの上乗せが紐づく「31日サイクル」もこの月次前提の記述で、免除の切り替わりが実際に31日のままかは公式に確認できません。

USDatを手に入れて始めるにはどうするか

USDatを発行するにはSaturnのオンボーディング(本人確認と制裁スクリーニング)とアドレス登録が必要です。審査を通さない場合は、CurveやPancakeSwapのプールで買う経路だけが残ります。

  1. Ethereum・BNB Chain・Monadで使えるEVMウォレットと、各チェーンのガス(ETH・BNB・MON)を用意する
  2. app.saturn.creditにウォレットを接続する
  3. リファラルコード"SAT-FA188092"を入力すると、獲得できるポイントが1.05倍に増加します。
  4. USDatを入手する(発行するならオンボーディングを済ませ、審査を通さないならCurveかPancakeSwapのプールで買う)
  5. 担保移行の告知を確認する(2026年8月26日の完了見込みまでは償還が制限される可能性がある)
  6. そのまま保有するか、Strategiesタブに並ぶ39のルートから経路を選ぶ
  7. Portfolioタブでポイントとランクを確認する(ポイントはオンチェーンのポジションから算定されるのでクレーム操作は不要)

日本から使えるのか

紹介プログラムの規約が除外法域として列挙するのは、米国・EEA・英国・カナダ・シンガポール・香港・中国本土と制裁対象法域で、日本はこの列挙に含まれていません。ただし同じ規約に「Saturnが随時指定する法域」という包括条項があり、VPNやプロキシによる回避も明確に禁じられています。

公式が日本からの利用を認めていると読める記載は確認できませんでした。

👉 Saturn公式アプリで移行状況と対象地域を確認する

リファラルコード"SAT-FA188092"を入力すると、獲得できるポイントが1.05倍に増加。

まとめ

Saturnは、ドルの利回りを暗号資産の内側からではなくStrategyが株主に払う現金から引いてくる代わりに、価格が動く証券を元本の裏側に置いています。2026年8月20日時点でその証券は額面を割った価格で取引され、金庫の1株も預け入れ時の水準に届いていません。

次に形が変わるのは、2026年8月26日完了見込みの担保移行が終わったあとの準備構成と、STRCが100ドル近辺へ戻るかどうかです。

出典

  1. Saturn公式ドキュメント(2026年)
  2. Saturn公式アプリのInsights(2026年)
  3. Saturn紹介プログラム規約(2026年)
  4. Saturn Terms and disclosures(2026年)
  5. Strategy公式のSTRC解説ページ(2026年)
  6. Business Wire(2026年)
  7. Forbes(2026年)
  8. Protos(2026年)
  9. MoonPay(2026年)
  10. CoinGecko(2026年)
  11. Artemis(2026年)
  12. KuCoin News(2026年)
  13. Cryptorank(2026年)
  14. Anchorage Digital(2026年)

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この記事を監修した人

新井 進悟

新井 進悟

株式会社ロクブンノニ 代表取締役

2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。

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