Ethena | 合成ドル+Ethrealによる高速DEX
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Ethena | 合成ドル+Ethrealによる高速DEX

Ethenaとは?
はじめに
Ethena(エテナ)とEthereal(エテリアル)は、暗号資産領域において「銀行のような中央集権的仕組みに頼らず、革新的な金融サービスを提供する」ことを目指す相互補完的なプロジェクトです。特にEthenaは“合成ドル”と呼ばれるステーブルコインUSDeを中心に、先物取引の仕組みを利用して1ドル相当の価格維持を図っています。一方でEtherealは、USDeを取引の軸となる基軸通貨として活用し、ユーザーが高速かつ分散的に売買できるDEX(分散型取引所)を提供する構想です。本プロジェクト詳細では、両者の背景や仕組み、強みやビジョンを解説していきます。
1. 背景と課題
1-1.既存ステーブルコインの課題
暗号資産を日常的に扱ううえで不可欠な存在となったのが「ステーブルコイン」です。USDT(Tether)やUSDC(USD Coin)といった主要コインはいずれも米ドル預金や国債などをオフチェーン資産として裏付けにしており、1トークン=1ドルの価値を目指します。しかし、これらは発行体が銀行口座を通じて運用しており、カウンターパーティリスクや規制リスク(発行体による資産凍結等)が存在します。また、銀行ネットワークにアクセスできない地域にとっては使いづらい仕組みでもあります。
こうした背景から、「完全に暗号資産由来で担保され、分散型金融(DeFi)の文脈で運用できるステーブルコイン」の需要が高まってきました。DAI(MakerDAO)などは暗号資産担保型の先駆例ですが、仕組みが複雑になりやすく、利回りを追求するとリスクとのトレードオフが生じる面もあります。
1-2.中央集権取引所と分散型取引所の対立
ステーブルコインだけでなく、取引所の形態も暗号資産の普及に大きく影響します。BinanceやCoinbaseなどの中央集権取引所(CEX)は流動性や注文スピードに優れ、多くのユーザーを抱えています。一方で、資産を預けた状態で運営企業が管理するため、出金停止やハッキング被害のリスクがつきまといます。
分散型取引所(DEX)ではスマートコントラクトを用いてユーザー自らが資産を管理するため、ハッキングリスクや運営主体リスクが低減します。しかし、従来のブロックチェーン上では処理速度が十分とはいえず、約定スピードや注文機能がCEXに劣り、トレーダーに敬遠されるケースがありました。
2.Ethenaの概要
2-1.合成ドルUSDeの仕組み
Ethenaは「米ドルに連動するステーブルコインUSDeを、暗号資産と先物取引によって実現する」プロトコルです。具体的には、イーサリアムなどの暗号資産を現物で保有し、同数量の先物ショート(売り)ポジションを取る「デルタヘッジ」を使って価格変動リスクを打ち消します。
市場が上昇して現物の価値が上がっても、ショートポジションでは同じだけ損が発生するため、全体としてはドル建てで価値がほぼ安定します。これにより、法定通貨を直接担保にしなくても1ドル近くの価値を担保できるわけです。
さらに、現物資産のステーキング報酬や先物取引のファンディングフィー(ロング・ショートの需給差に応じて支払われる手数料)を獲得し、利回りを生む仕組みを構築しています。これにより、単なるペッグ維持のみならず、ステーキング(sUSDe)を通じて高利回りを期待できる点が特徴です。
2-2.銀行不要かつ分散的な設計
既存のUSDCやUSDTと異なり、Ethenaは伝統的金融機関に資産を預ける必要がありません。銀行口座や国債を担保とせず、暗号資産とデリバティブ市場を活用することでドル価値を再現しているため、「銀行で資産凍結されるリスク」や「法定通貨の流動性不足」を回避しやすいのです。
このような分散型のアプローチは、世界中どこからでもアクセスでき、規制による閉鎖リスクが小さいのが利点です。その半面、先物を扱うプラットフォーム(多くは中央集権型取引所)が安定して動作するかという依存関係もあるため、リスク管理に注目が集まっています。
2-3.USDeの利回りとステーキング
EthenaのUSDe保有者は、さらにステーキングを行うことで「sUSDe」というトークンを受け取り、プロトコル全体の運用益(先物ファンディングレート収入や現物ステーキング報酬)を分配されます。市場環境が好転している時期には年率20~30%を超える高い利回りが得られたこともあり、銀行預金や従来型ステーブルコインにはない投資魅力が注目を集めています。
ただし、先物市場のファンディングレートが長期間マイナス(ショート側が払う状態)になると、プロトコルの収益が圧迫されるため、常に高利回りが保証されるわけではありません。ユーザーはこうした変動リスクを理解しながら活用する必要があります。
デルタヘッジってなに?
デルタヘッジとは、オプションの価格変動リスク(デルタリスク)を抑えるために、オプションのデルタ値に応じた原資産の売買を行い、ポートフォリオ全体の価格変動感応度(デルタ)をゼロ(またはゼロに近い状態)に近づける手法です。
噛み砕いて説明するとここでは「極力資産変動リスクをゼロに近づけて運用益を獲得する」を意味しています
2-4.BlackRockとの連携とUStb
2024年、Ethenaは米国大手資産運用会社BlackRockと提携し、新たなステーブルコイン「UStb」を発表した点も大きな話題を呼びました。UStbはトークン化されたマネーファンド(BUIDL)を裏付け資産とし、機関投資家も扱いやすい安定通貨を提供する狙いがあります。
これにより、暗号ネイティブなUSDeと、より伝統金融に近いUStbを並行展開することで、多様な利用者のニーズに応えつつ、Ethenaのエコシステム全体を拡張する戦略を進めています。
3.Etherealの概要
3-1.高速DEXを目指すアプリケーション専用チェーン
Ethereal(エテリアル)は、EthenaのUSDeを中心に取り扱う高速分散型取引所(DEX)です。従来のAMM(自動マーケットメイカー)形式とは異なり、「注文板(オーダーブック)方式」を採用し、L3(レイヤー3)専用チェーン上で超高速な約定を実現しようとしています。
一般的にEthereumメインネットやL2ではブロック生成間隔の制約から約定スピードがCEXに及ばず、流動性や注文機能に限界がありました。Etherealはアプリケーション専用のチェーンを立ち上げ、1秒間に数十万~100万件超のオーダー処理・20ms以下の低レイテンシを目標とするなど、CEXに近いトレード体験を提供する計画です。
3-2.USDeを基軸としたメリット
Etherealの取引ペアは、USDeを基軸通貨として扱うのが大きな特徴です。ユーザーが証拠金としてUSDeを預け入れると、Ethena側のステーキング収益(先物ファンディングレートやETHステーキング報酬)を受け取りながら、取引を行えるという仕組みを目指しています。つまり、証拠金が「ただ担保として置かれる」だけでなく、運用益を得ながらレバレッジ取引や先物取引を可能にするわけです。
また、Ethenaプロトコル自身がUSDeのヘッジ取引をEthereal上で行うため、初期段階から大口の流動性を取り込みやすく、板の厚みやスプレッドが改善される効果が期待されています。
3-3.セルフカストディと高速性の両立
DEXの利点は、ユーザーが秘密鍵を自分で管理するセルフカストディが基本な点です。Etherealでもユーザーは自前のウォレットを接続し、資産を完全に自分で管理しながら取引することができます。一方で、多くの既存DEXはブロックチェーン固有の制約から、注文の遅延や手数料(ガス代)の高さがネックでした。
Etherealは独自チェーンを採用することでガス代をほぼゼロに抑え、注文板をオンチェーンに実装しつつもCEX並みの取引速度を実現する計画です。これにより、高頻度トレーディングやプロ向けアルゴリズム取引が可能となり、従来DEXが苦手としていた分野を開拓しようとしています。
3-4.将来の拡張とマルチアセット対応
Etherealは単にBTC/USDeやETH/USDeなどの先物取引を提供するだけでなく、分散型レンディングやオプション取引など「オンチェーン上の包括的な金融サービス」を展開できるプラットフォームとして成長を図っています。
特に、Ethenaエコシステム内でiUSDe(機関投資家向けKYC済みバージョン)を活用する構想や、さらには他チェーン資産とのブリッジ連携も計画されています。これらが成功すれば、多様なトークンを扱う高速・高流動性のデリバティブ市場が誕生し、CEXを使わなくてもトレーダーが充実した取引手段を得られる時代を切り拓く可能性があります。
4.EthenaとEtherealの相乗効果
4-1.流動性と利回りの好循環
Ethenaにとって、Ethereal上で大規模なヘッジ取引を行うことは流動性提供の一助となり、DEXとしての板が厚くスプレッドが縮小しやすくなります。するとEtherealでの取引体験が向上し、さらに多くのトレーダーが集まることで手数料収入が増加し、プロトコルの安定性も高まる好循環が期待できます。
一方でEtherealユーザーは、USDeという合成ドルを証拠金として利用しながら利回りを得られるため、単に値動きの投機だけでなく「安定した資産運用+取引」という複合的な金融行動が可能になります。
4-2.トラディショナル金融との橋渡し
BlackRockとの連携やUStbの発行などからわかるように、Ethena/Etherealは「DeFiだけでなく、機関投資家や伝統金融の巨大な資金プールも取り込みたい」というビジョンを持っています。USDeの分散型アプローチがもたらす銀行不要の自由度に加え、UStbなどRWA(現実世界資産)を絡めたトークンによる信頼性も提供し、様々な層の投資家にアプローチする考えです。
Ethereal上ではiUSDeのようなKYC対応通貨を扱うことで、規制をクリアした機関投資家が高速DEXのメリットを享受できる可能性があり、これまでのDeFiにはない大口の流動性が流れ込む展望があります。
5.リスクと注意点
5-1.先物依存に伴う市場リスク
EthenaのUSDeは先物をショートする戦略が根幹であり、先物市場の流動性やファンディングレートに強く依存します。もし主要先物取引所が大幅に規制されたり、ファンディングレートが長期的にマイナスに傾き続けると、プロトコル収益が減りステーキング報酬が下振れする懸念があります。
また、先物取引の実行自体を中央集権取引所に頼っている側面があるため、その取引所が破綻したりハッキングされた場合に資産を回収できないリスクも指摘されています。オフチェーンセトルメントを工夫しているとはいえ、完全な分散化にはさらなる技術的進歩が求められます。
5-2.規制リスク
米国をはじめとする各国当局がステーブルコインやデリバティブ取引を厳しく取り締まる動きもあり、Ethena/Etherealが提供する高利回りなドル建て商品が証券扱いや無登録取引所として認定される可能性があります。そうなると、地域ブロッキングやKYC義務化などの制約が発生するかもしれません。
加えて、ブラックロック等の大手伝統金融機関との提携は信頼性を高める一方、「より厳しいコンプライアンスが必要になる」という側面もあります。
5-3.技術的リスク
Etherealが採用するL3チェーンやクロスチェーンブリッジ、先物と現物を結びつけるスマートコントラクトの複雑性など、技術面の難易度は非常に高いです。スマートコントラクトのバグ、ハッキング、予期せぬシステム停止などが発生すれば、資産の流出やペッグ崩壊に直結しかねません。
特に大量の資金を扱うプロトコルほど攻撃者に狙われやすいため、セキュリティ監査やバグ懸賞金プログラムなどを十分に行い、コミュニティでの透明性ある監視体制を築く必要があります。
6.ビジョンとユーザーにとっての面白さ
6-1.「銀行を使わないでドルにアクセスする」
Ethenaが実現する合成ドルは、銀行口座を持たないユーザーにとってもアクセスしやすく、世界中の誰でもブロックチェーンウォレットさえあれば1ドル相当の価値を保有・送金できる可能性を開きます。規制や地理的制限を受けにくい通貨として、グローバルな金融包摂に大きく貢献しうる点が魅力です。
6-2.DeFiの先を拓く高速DEX体験
Etherealは高頻度取引や大口注文が難しかった従来のDEXを一新しようとしています。分散型でありながらCEX並みに操作しやすい取引所が誕生すれば、デイトレーダーや機関投資家など、これまでCEXを使わざるを得なかった層もDeFiへ流入する可能性が高まります。
さらに、USDeというステーブルコインを証拠金に使うことで、ポジションを取りながらも一定の利回りを獲得できる「運用×トレードの融合」的な体験が面白さに繋がるでしょう。
6-3.大規模資本の導入と生態系拡大
BlackRockや機関投資家の参入によって、かつての小規模なDeFiコミュニティにはなかった巨大な資金が流れ込み、流動性やユーザー体験が更に向上する可能性があります。そうなれば、高速DEXとしてのEtherealが多様な金融商品(先物・オプション・レンディングなど)を展開し、一般投資家から上級トレーダーまでを取り込む総合プラットフォームへ進化するかもしれません。
7.まとめ
Ethenaが提供する合成ドルUSDeは、暗号資産の価格変動を先物取引でヘッジするという新しい方法で、銀行不要ながら1ドル相当の安定価値を目指しています。さらに、そのUSDeを基軸通貨とするEtherealでは、高速注文板型DEXを実装し、CEXに匹敵する流動性と利便性を分散環境下で実現しようとしています。
両プロジェクトは協働することで「高利回りの安定通貨」「セルフカストディの安心」「高速かつ低コストの取引インフラ」という三位一体の価値提供を目指しており、DeFiとトラディショナル金融の橋渡しを視野に入れています。もっとも、先物依存や規制面、技術的リスクといった課題も存在し、実際に大規模ユーザーを獲得するまでには時間と信頼実績が必要でしょう。
それでも、銀行口座を通さずにドルにアクセスできるEthenaの合成通貨モデルと、CEX級のパフォーマンスを狙うEtherealの高速DEXビジョンは、暗号資産業界の次なるステップとして大きな注目を集めています。暗号資産中級者がエアドロップやステーキングを通じてこれらプロジェクトに触れてみると、DeFi全体の仕組みを一段深く学びながら、将来性のある生態系を先行体験できるでしょう。今後の開発進捗と規制動向を追いつつ、自分なりの投資判断や活用方法を検討してみる価値があります。
エアドロップ攻略
エアドロップ手順説明
- 1. こちらからUSDCを使用してUSDeを発行する
- 2. USDeをEthenaにステーキングするほか、EtherealにPre-Depositする
- 3. その他USDeを使用してプロジェクトにステーキングする
公式による解説・動画はこちら
画像付き手順説明
- 1. こちらからUSDCを使用してUSDeを発行する
- 2. USDeをEthenaにステーキングするほか、EtherealにPre-Depositする
- 3. その他USDeを使用してプロジェクトにステーキングする
公式による解説・動画はこちら
免責事項
- ・本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
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- ・本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。
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