Spark | DeFiの巨人MakerDAOが放つ、次世代の金利エンジン
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目次
Spark に資産を預けると年3.60%(2026年7月21日時点)の利回りが付きますが、その利回りは他の預金者が払う金利ではありません。Sky(旧MakerDAO)が抱える準備金と米国債から来ています。
Spark とは|Sky の準備金を利回りに変える基盤
SparkはSky(旧MakerDAO)エコシステムのなかで最大のSubDAOが運営する、ステーブルコインの貯蓄・レンディング・資本配分を1つにまとめたDeFi基盤です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チェーン | Ethereum(主体)+ Base / Optimism / Unichain / Arbitrum / Gnosis |
| カテゴリ | DeFi貯蓄・レンディング・オンチェーン資本配分 |
| ステージ | メインネット稼働(3製品すべて稼働) |
| トークン | SPK(発行済み・DEX/CEX上場) |
| 開発 | Phoenix Labs(Skyエコシステム内でインキュベート) |
中身は3つの製品でできています。読者が実際に触るのは主にSpark Savingsと、SPKを使うSPK Stakingです。
画像:Spark公式サイトのスクリーンショット(2026年7月21日撮影)
| 製品 | 何ができるか | 読者との接点 |
|---|---|---|
| Spark Savings | ステーブルやETHを預けて利回りを得る | 誰でも預入可・無料で触れる主接点 |
| SparkLend | 担保を差し出してUSDC/USDSを借りる | 借り手・レバレッジ利用者向け |
| Spark Liquidity Layer | Sky準備金をDeFi/CeFi/RWAへ配分する裏方 | 直接は触らない・利回りの源泉 |
| SPK Staking | SPKを預けてSpark Pointsを貯める | 現行Season 4の主参加口 |
Spark Liquidity Layerは表の下段にあるとおり、Sky準備金を配って上2つの利回りを生む供給源です。読者が直接触るより、利回りの出どころとして押さえておけば足ります。
利回りの出どころが「発行体のバランスシート」である意味
Sparkの核心は、利回りの源泉が外部の預金者需給でなく、Sky(旧MakerDAO)の準備金にある点です。
Aaveのような汎用マネーマーケットでは、金利は預けたい人と借りたい人のオンチェーン需給だけで決まります。借り手が少なければ供給側の利回りは薄くなり、市況次第でレートも動きます。
Sparkはここで発行体であるSkyのバランスシートを裏に持ち、暗号担保ローンの金利や米国債RWAの運用分を利回りの原資にできます。だから預金者需給に頼らず、変動の小さい貯蓄レート(Sky Savings Rate)と厚い供給を出せます。
これを他社が真似るには、自前のステーブルコイン発行体を持つか、その準備金への特権的なアクセスが要ります。
ただしSparkLendそのものはAave V3のコードをフォークした実装で、レンディングの技術に新規性があるわけではありません。強みはコードでなく「Sky準備金に直結できる」という資本構造の側にあり、そこを独自のレンディング技術と読むと評価を誤ります。
裏返せば、この優位はSkyの準備金とSkyガバナンスに依存します。Sparkは貯蓄レートを自分で決められず、設定するのはSkyです(過去2024年は8%超、2026年Q2は3.75%前後と実際に動いてきました)。
| 項目 | Spark | Aave |
|---|---|---|
| 金利の決まり方 | 発行体Skyの準備金を裏付けに供給 | 預金者と借り手のオンチェーン需給 |
| 貯蓄レートの性質 | Skyが設定する変動の小さいレート | 利用率に連動して変動 |
| 利回りの源泉 | 暗号担保ローン金利+米国債RWA | 借り手が払う金利 |
つまりAaveは純粋な需給の汎用マネーマーケット、Sparkは発行体のバランスシートを直接引ける基盤という位置づけの違いです。予測しやすい貯蓄レートを取るか、需給で振れるレートと成熟した実績を取るかという選択になります。
Spark Savings のレートと、sUSDS が増える仕組み
Spark SavingsにUSDSを預けると受け取れるsUSDSの実効利回りは、2026年7月21日のオンチェーン実測で年3.60%でした。
画像:Sparkアプリのスクリーンショット(2026年7月21日撮影)
sUSDSは預入額そのものが増えるのでなく、1 sUSDSの対USDS価値が時間とともに上がるタイプの受領トークンです。2026年7月21日時点で1 sUSDSはおよそ1.1037 USDSの価値があり、過去に積み上がってきた分を表します。
預けたときのsUSDSの枚数は変わらず、引き出すときに増えた分を受け取ります。預入と引き出しに手数料はかからず、公式もスリッページなし・手数料なしと表記します(ガス代は別途)。
SPKを買わなくても、対応ステーブルかETHをウォレットから預けるだけで触れます。エアドロやポイントを狙う人にとって、いちばんコストの低い接点がここです。
一方で、この3.60%は固定でも保証でもありません。レートはSkyガバナンスが動かすもので、預けた瞬間の数字がその後も続くとは限りません。
SPK トークンと Season 4 ポイントの位置づけ
SPKは2025年6月に発行された総供給100億のガバナンス兼ステーキングトークンで、その大半をユーザーとコミュニティに配る設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ティッカー | SPK |
| 総供給量 | 100億SPK(genesis mint。極端な状況下でSkyが追加発行できる条項あり) |
| 配分 | Sky Farming(ユーザー)65%/Ecosystem 23%/Team & Contributors 12% |
| 主な用途 | ガバナンス投票・ステーキング(Spark Points獲得) |
| 市場データ | 価格 約0.0177ドル・時価総額 約5,340万ドル・循環 約30億SPK(2026年7月21日・CoinGecko) |
全体の65%(65億SPK)は10年かけてUSDSステーキングのfarmで配られ、年間の配布量は初年の16億2,500万から半減していきます。チーム分は12ヶ月のクリフ後に3年かけて解ける設計です。
ここで枠組みを1つ整理します。「無料でSPKを受け取るエアドロ」はもう終わっています。Pre-FarmingやIgnitionなどの初期エアドロは2025年12月17日でクレーム最終日を迎え、以降は請求できません(偽サイトに注意)。
いま残る参加余地は、2026年4月13日から8月12日までのSeason 4ポイントです。SPKをステークして1 SPK・1日あたり3ポイントを貯める施策で、先にSPKを市場で買う必要があります。ステークすると2〜4週の引き出し遅延とslashingのリスクが付き、ポイントが将来いくらの報酬に換算されるかは公式に確定していないため、期待値の計算はできません。
Phoenix Labs という開発主体と、その動機
Sparkを設計・開発しているのはPhoenix Labsという独立の開発会社で、2023年5月にSky(旧MakerDAO)エコシステムからspun outされました。
共同創業者のSam MacPhersonは、ゲーム開発出身のエンジニアからMakerDAOのProtocol Engineerを経てPhoenix Labsを立ち上げた人物です。もう一人のLucas ManuelはMakerDAOでMulti-Collateral DAIに関わり、Maple Financeでスマートコントラクトのテクニカルリードを務めた経歴を持ちます。資本は外部VCラウンドでなく、Skyの準備金・Endgameロードマップ下のSubDAOという位置づけです。
MacPhersonは自身のMediumで「ステーブルコインを暗号資産だけで裏付けてスケールさせることはできず、現実資産(RWA)に接続する以外に道はない」と繰り返し述べています。Skyを通貨発行の中央銀行、Sparkをその下で実際のローンと成長施策を担う商業銀行に見立てる二層モデルが設計思想の背骨です。これがSparkを単なるAaveフォークに留めず、Sky準備金を配分する資本アロケータへ役割を広げてきた経緯につながっています。
編集部の評価|「エアドロ」でなく「利回りの質」で見る案件
Sparkを判断材料として読むと、価値の重心はSPKの配布でなくSpark Savingsの利回りの出どころにあります。
利回りがSkyの準備金と米国債RWAから来ているという構造は、報酬トークンの増発で高APYを演出する多くのDeFiとは性質が違います。実測3.60%というレートの背後に実需の収益があり、TVLを複数製品で維持できているのも実利用が中核にある傍証です。
一方で、この安定はSkyへの依存と一体です。貯蓄レートを決めるのはSparkでなくSkyで、過去8%超から3%台まで動いてきた以上、預けた時点のレートを固定利回りのように読むのは危険です。
SPK側の参加余地はさらに慎重に見る必要があります。初期エアドロは終わっており、いま残るポイント施策はSPKを買ってステークする前提で、2〜4週のロックとslashingを負ったうえ金銭価値は未確定です。ここに「無料でもらえる」期待を重ねると判断を誤ります。
純粋に利回りを取りに行くならSavings、ポイントを賭けにいくなら購入とロックのコストを織り込む、という二層で読むのが実態に合います。なお日本居住者が使えるかは公式で明示確認できておらず、そこは各自で確かめる前提です。
参加方法・始め方
画像:Sparkアプリのスクリーンショット(2026年7月21日撮影)
- MetaMaskなどEVMウォレットを用意し、Ethereumメインネットのガス(ETH)を確保する。
- まず利回りだけ試すなら、Spark Savings でUSDCかUSDSを少額預けてsUSDSを受け取る(撮影時点の年3.60%は変動する)。
- ポイントも狙うなら、DEXかCEXでSPKを取得する(ステーキングの原資)。
- SPKステーキング でウォレットを接続しSPKをステークする(stSPKを受領・2〜4週の引き出し遅延とslashingに留意)。
- Spark Points で獲得状況を確認する(1 SPK・1日あたり3ポイント)。
関連するDeFiの読み比べにはEthenaやUsualの記事も参考になります。
よくある質問
Spark Savings に預けたお金はロックされますか
Spark Savings自体に固定の預入期間はなく、預入と引き出しは手数料なしと公式が表記します。引き出しに遅延があるのはSPKステーキングのほうです。
いま SPK のエアドロを無料で受け取れますか
受け取れません。初期の無料配布は請求期限を過ぎており、いま参加できるのはSPKを買ってステークするポイント施策だけです。
sUSDS を持っているだけで残高が増えないのはなぜですか
sUSDSは枚数が増えるのでなく、1 sUSDSの対USDS価値が上がっていく設計だからです。引き出すときに増えた分を受け取る仕組みで、価値の伸びは日々のレートに連動します。
まとめ
Sparkの実測3.60%という貯蓄レートは、報酬トークンの増発でなくSkyの準備金と米国債RWAという発行体の収益から来ている点にこの案件の芯があり、だからこそレートを決めるのがSpark自身でなくSkyである以上、預けた時点の数字を固定利回りと読まないことが判断の分かれ目になります。
出典
- Spark公式サイト(2026年)— https://spark.fi/
- Spark Docs・SPKトークン(2026年)— https://docs.spark.fi/governance/spk-token
- Spark Docs・エアドロ(2026年)— https://docs.spark.fi/airdrop/
- Spark Docs・ステーキング(2026年)— https://docs.spark.fi/staking/
- オンチェーン実測 sUSDS ssr()/convertToAssets()(2026年)— https://docs.spark.fi/dev/savings/susds-token
- CoinGecko・SPK(2026年)— https://www.coingecko.com/en/coins/spark
- CryptoBriefing・Spark Season 4(2026年)— https://cryptobriefing.com/spark-season-4-spk-staking-rewards/
- eco.com・Spark vs Aave(2026年)— https://eco.com/support/en/articles/14800893-spark-protocol-vs-aave-sky-s-lending-stack
- Messari・Spark概観(2026年)— https://messari.io/report/understanding-spark-a-comprehensive-overview
- WuBlockchain・Sam MacPhersonインタビュー(2026年)— https://wublock.substack.com/p/sparks-pivot-from-defi-lending-to
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この記事を監修した人

新井 進悟
株式会社ロクブンノニ 代表取締役
2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。



