Haiku(haiku.trade)とは|DeFiの多段操作を1回で通す実行エンジン

目次

Haiku(haiku.trade)は、ブリッジ・スワップ・貸し出し・LPへの預け入れといったDeFiの操作を、1回の実行フローにまとめるサービスです。ユーザーが指定するのは、いま持っている資産と、最終的に持ちたい資産・配分です。そこへ至る経路はHaikuが組み立てます。

途中の処理が成立しなければ全体を成立させない「All-or-Nothing」の実行を掲げています。トークン$HKUはまだ発行されておらず、現在貯められるのはKarmaというポイントです。

Haikuとは|チェーンをまたぐDeFiの実行エンジン

ユーザーが決めるのは、入れる資産と、最終的に持ちたい資産の比率です。経路の探索と実行はHaikuが担います。

画像:Haiku公式トップページのスクリーンショット(2026年8月27日撮影)

項目内容
チェーンEthereum・Arbitrum・Base・Solanaほか(公式ページやAPIで集計方法に差があります)
カテゴリクロスチェーンのDeFi実行エンジン
ステージメインネット稼働。$HKUは未発行でKarma Season 0が進行中
触れる面アプリの取引画面とポートフォリオ画面。ウォレット接続だけで使えます
開発者向けREST API・埋め込みWidget・AIエージェント向けMCPサーバー
運営Haiku Trading Limited(英領ヴァージン諸島)
監査Hashlockによるコントラクト監査(v2は2025年9月、直近は2026年2月のUniswapV3監査。2025年2月はv1とdApp侵入テスト)

対応チェーン数は出所によって食い違います。公式トップページでは22、ドキュメントの対応表では18です。

2026年8月27日に公式APIのトークン一覧を数えたところ、チェーンは24(EVM23本とSolana)、トークンは18,785件でした。

Haikuが省こうとしているのは、ブリッジのサイトを開き、次にレンディング、その次にDEXと、複数の画面を渡り歩きながら一つずつ取引する作業です。

公式トップページが挙げる例は、ArbitrumのUSDCを元手にBase上でデルタニュートラルなLPを組むケースです。手作業なら、ブリッジ・Aaveへの供給と借入・スワップ・Aerodromeへの流動性提供まで8手順で35分かかるところ、Haikuでは1分で完了するとしています。

ただし、単発のスワップを安く通すだけなら1inchやJupiterのほうが目的に対して素直です。複数チェーンの残高を眺めるだけならZerionのようなウォレットで足ります。

Haikuの強みが出るのは、チェーンをまたいで複数のDeFi操作を組み合わせる場面です。

とくに相性が良いのが、複数のプロトコルに分散した利回り機会への参加です。より高い利回りのVaultやLPを見つけても、それが別チェーンにあれば、通常はブリッジ・スワップ・預け入れといった作業を順番にこなす必要があります。

Haikuは、こうした操作を最終的なポジションから逆算して組み立てられます。さらに開発者向けのHaiku MCPには、統合されたプロトコルを横断して利回り機会を検索し、その結果をHaikuのQuote・Executionへ渡す仕組みも用意されています。

つまりHaikuの価値は、単に「複数の操作を1クリックにする」ことだけではありません。複数チェーン・複数プロトコルに散らばる運用先と、現在持っている資産との間をつなぐ実行基盤になれる点にあります。

手順を並べる代わりに最終状態を宣言する

宣言型と呼ばれる理由は、入力の形にあります。従来のDEXでは「AをBに替える」といった命令を一つずつ出しますが、Haikuに渡すのは「最後にこの資産をこの比率で持っていたい」という結果です。

画像:Haiku公式ドキュメント(Diagrams)より(2026年8月27日取得)

Haikuは、現在の持ち高と目標の持ち高との差を埋める経路を計算し、承認・ブリッジ・スワップ・預け入れ・借入などを1つの実行にまとめます。成立しなければ全体を成立させないため、部分的な約定や途中で資金が取り残される状態を避けられる、というのが公式の説明です。

難しいのはその裏側です。プロトコルごとにアダプタを揃え、複数チェーンをまたいだ経路を探索し、その時点の流動性や価格に合わせて組み立て、途中で条件を満たさなければ安全に処理を止める必要があります。

一方で、マルチチェーン対応や経路最適化そのものは、この分野では珍しい機能ではありません。公式ドキュメントはDefinitiveやCoW Swap、LI.FI、Ensoを名指しで比較し、違いは単に扱えるプロトコルやチェーンの数ではなく、命令的な実行か、最終状態から逆算する宣言的な実行かにあると説明しています。

ただし、この優位性を示す比較はHaiku自身が作成したものです。第三者による比較検証は確認できませんでした。経路計算200ミリ秒未満という数字も同様に公式の公称値です。

4つの執行戦略と、公式に見つからない手数料

アプリでは4つの執行戦略を選べます。すぐに通すか、指定価格まで待つか、時間を分けて執行するか、流動性に合わせてHaikuに任せるかの違いです。

画像:Haiku公式アプリ(TRADE)のスクリーンショット(2026年8月27日撮影)

執行戦略何をするか設定できる範囲
MARKET即時に最良経路で通すスリッページ上限は既定0.30%・変更可
LIMIT(ベータ)指定したレートで約定を待つ有効期限24時間・再試行と価格改善の設定あり
TWAP時間で分割して市場への影響を抑える1時間〜1日または任意・分割2〜48回・上限0.1/0.3/1%
GUNSHI実際の流動性に合わせて時間と経路を変える最長5日(プリセット)・緊急度4段階・上限0.1/0.3/1%

GUNSHIとLIMITはドキュメントに記載がなく、アプリ側に先行して実装されています。

肝心の料率は、公式サイトにもドキュメントにも、ウォレット接続前のアプリ画面にも見つけられませんでした。ドキュメントには料金表のページがなく、$HKUの説明ページも、$veHKUを多く持つほど手数料が割引されるとするだけで、元の料率や具体的な割引率は示していません。

接続前の注文パネルでは、総コストの欄も「--」のままです。

公式FAQは、ガス代そのものを安くすると主張しているわけではありません。ただし、複数の操作を1回の実行にまとめるため、手作業で一つずつ処理する場合より合計コストが下がることが多い、と説明しています。

日本から使えるのか

利用規約(2025年3月16日改定)の第1条Eligibilityでは、米国を含む27の国・地域が利用不可地域として挙げられています。日本はこの一覧に含まれていません。

ただし、日本向けにサービスを提供していると明記されているわけでもありません。また、VPNなどを利用した地域制限の回避は規約で禁じられています。

👉 Haikuの執行戦略と対応チェーンを公式で確かめる

Karmaで積める報酬と、上位100件の内訳

現在貯められるのはKarmaというポイントです。公式ブログは、将来的に$HKUの配分やティア特典などにつながると説明しています。

プログラムもらえるもの条件・期限
Karma(自社)ポイント。$HKUの配分やティア特典への転換を予告ウォレット接続とHaiku Sigilの作成、その後の取引。期限の定めなし
紹介(自社)紹介した相手が得たKarmaの最大20%とティア昇格ボーナス(額は未公表)相手が3取引以上かつ出来高250ドル以上に到達すること
提携NFTの倍率(自社と提携コミュニティ)取引Karmaの倍率と一時金。自社NFTのHaikutiesは最大3倍と11,000 Karma対象NFTを保有し、アプリで提携を有効化すること

3つ目の行の出所は公式ブログやドキュメントではなく、アプリの実装に埋め込まれた定数です。公式ブログが挙げているKarmaの獲得経路は、出来高・intentの複雑さ・紹介・日次ストリークの4つで、このNFT倍率については記載されていません。

編集部の観測: 2026年8月27日、公式APIのリーダーボードのエンドポイントを認証なしで呼び出し、返ってきた上位100件のKarma・取引回数・倍率・ストリークを集計しました。返る件数は100件で固定のため、集計できるのはこの100件だけです。

その100件のうち92件が提携NFT由来の倍率を持っていました。内訳は3倍が21件、2倍が68件、1.5倍が1件、1.2倍が2件、倍率のない1倍が8件です。

取引回数が0のまま4万Karmaを超え、100位以内に入っているウォレットも3件あります。100位のカットオフは41,059 Karma、首位は266万Karmaです。

現在のストリークが1日以上続いているのは14件で、最長は17日でした。一方、過去の最長ストリークが30日以上だったウォレットは41件あります。同じ表の出来高欄には、桁が明らかに異常な値も2件混じっています。

このAPIだけでは出来高を積み上げて検証できず、公式トップページが掲げる累計4,000万ドル超という数字も外部から突き合わせることはできません。

$HKUの配分方法についても、公式の説明はまだ完全には揃っていません。公式ブログは、Karmaが将来的なHaikuトークンの配分につながると説明しています。

一方、ドキュメントの$HKUページはエアドロップの対象を「ベータテスト・製品へのフィードバック・コミュニティ参加」と説明しており、Karmaについて直接触れていません。初回配布の詳細はHaiku Core Contributorsが決定するとあるだけです。

$HKUの配分と、Mozaicから改称したチーム

$HKUは未発行ですが、総供給量と配分はすでに公開されています。

項目内容
ティッカー$HKU(2026年8月27日時点で未発行)
総供給量10億枚の固定上限
配分前身プロトコル保有者への移行分21.34%・エコシステム20.00%・投資家16.25%・チーム15.00%・エアドロップ枠2.70%ほか
主な用途$veHKUへのロックによる議決権、各プロダクトの手数料割引、金庫の利回りブースト
取引所なし。同名の別ERC-20が流通しているため取り違えに注意

エアドロップ枠の2.70%は、TGE時点で半分がアンロックされ、残る半分は12か月かけて四半期ごとに解除されます。

その約8倍にあたる21.34%は前身プロトコルの保有者向けで、対象は2025年1月24日のスナップショットで確定しています。現在から参加しても、この移行分の対象にはなりません。

トークノミクスで利回りブーストの対象として言及されているHaiku Vaultsは、2026年8月27日時点ではアプリ上で確認できませんでした。

Mozaicからの改称と、創業者の出発点

Haikuの前身は、創業者のCalum Robertsが2021年に共同創業したAI利回りアグリゲータ、Mozaic Financeです。

2025年1月、Mozaic DAOの提案MIP-13で、Haikuへの改称とトークノミクスの刷新が諮られました。

ただし、現在のHaiku公式ドキュメントでは前身の名称を明記していません。そのため、移行枠21.34%の対象がMozaic保有者であることは、Haiku側の現行ドキュメントだけでは確認できません。

Robertsは暗号資産デリバティブのトレーダー出身です。プレシード調達の発表では、DeFiには強力な金融プリミティブが揃っている一方、執行のUXが壊れているという問題意識を語っています。

同じ発表では、TradFiなら「デルタニュートラルなポジションを建てる」と結果を指定できるのに対し、DeFiでは貸す・借りる・交換する・再入金するといった手順を一つずつ実行しなければならない、と説明しています。

Haikuの「宣言型」という設計は、この問題をそのまま製品の入力形式に落とし込んだものです。

項目内容
創業者Calum Roberts(Founder & CEO・シドニー拠点)
投資家Big Brain Holdings(主導)・Auros・Frostlight・Daedalus Syndicate・Biconomy CEOのAhmed Al-Balaghi
調達2025年12月4日にプレシード100万ドル

編集部の評価|Karma抜きでも使われるか

Haikuが賭けているのは、複数チェーンで多段のポジションを組む人が、手順を一つずつ実行するやり方をやめ、「最終的にどういうポジションを持ちたいか」だけを指定する世界です。

この仮説が当たっているなら、Karmaや将来の$HKU配布がなくなっても、執行そのものはHaiku経由で続くはずです。

なかでも、Haikuの設計と相性が良いのはイールドファーミングです。

利回りはチェーン・プロトコル・プールごとに分散し、APYも変動します。良い運用先を見つけても、別チェーンであればブリッジし、必要な資産へ交換し、VaultやLPへ預け直さなければなりません。

Haikuは、この「運用先」と「現在持っている資産」の間にある一連の操作を、自動で組み立てられます。

開発者向けのHaiku MCPでは、さらに複数のプロトコルから利回り機会を検索するhaiku_discover_yieldsが公開されています。APY・TVL・カテゴリなどから候補を探し、返された識別子をQuoteへ渡して、そのポジションまでの実行経路を組み立てる設計です。

現時点で、このYield Discoveryが一般ユーザー向けアプリの中心機能として提供されているわけではありません。それでも、「利回り機会を探す」と「そこまで資金を動かす」を同じ実行基盤で扱えることは、Haikuのプロダクトとして興味深い部分です。

複数チェーン・複数プロトコルを横断しながら、運用先まで資本をルートできるようになれば、Haikuは単なる「DeFi操作をまとめるツール」ではなく、オンチェーン上の資本配分レイヤーに近づきます。

一方、現在の利用状況を見る限り、その価値がポイント目的ではないユーザーにまで定着しているかはまだ判断できません。

上位100件のうち92件が提携NFTの倍率を持ち、現在も日次ストリークを継続しているのは14件でした。

開発者側の採用も、MCPサーバーの直近1か月のダウンロードが344件、公開リポジトリの最終更新が2026年5月9日という段階です。

ドキュメントにない機能がアプリ側で先に動いている状態は、開発速度に対して情報整備が追いついていないことも示しています。

今後見るべきなのは、単純なKarma参加者数だけではありません。ポイント施策が薄れた後も取引が残るか、Yield Discoveryから実際のポジション構築まで使われるか、MCP・Widget・APIを組み込む第三者プロダクトが増えるかです。

少額で最初の1回を通すまでの手順

  1. app.haiku.tradeを開き、対応ウォレットを接続します。
  2. Haiku Sigilを作成してアカウントを有効化します。紹介リンクもここで発行されます。
  3. 入れる資産と出したい資産の比率を決め、執行戦略にMARKETを選びます。
  4. スリッページの上限と、表示された総コスト・最低受取額を確認してから実行します。
  5. KARMABOARDで順位・倍率・ストリークを確認します。

👉 手順どおりに1回分の経路を公式アプリで組んでみる

まとめ

$HKUはまだ発行されておらず、Karmaが最終的に何枚の$HKUへつながるかも確定していません。ポイントだけを目的に触る場合、現時点では配布条件の不確実性が残ります。

一方、Haikuのプロダクトとしての本質はKarmaではありません。

複数チェーン・複数プロトコルに分散したDeFiのポジションに対し、現在持っている資産から、ブリッジ・スワップ・貸し借り・LPへの預け入れまでをまとめてルートできることにあります。

とくにイールドファーミングでは、運用先を探す作業と、そこへ資金を移す作業が分断されがちです。Haiku MCPではすでに利回り機会の探索と実行をつなぐ仕組みが確認でき、この設計がどこまで利用者向けの体験として広がるかは今後の注目点です。

まず手を動かして確かめたいのは、普段なら複数サイトをまたいで行う操作が、本当にHaikuだけで完結するかどうかです。

出典

  1. Haiku公式サイト(2026年)
  2. Haiku公式アプリの取引画面(2026年)
  3. Haiku公式ドキュメントのトークノミクス(2026年)
  4. Haiku公式ドキュメントの$HKUとHaiku DAO(2026年)
  5. Haiku公式ドキュメントの利用規約(2025年)
  6. Haiku公式ドキュメントの他サービス比較(2026年)
  7. Haiku公式ドキュメントのよくある質問(2026年)
  8. Haiku公式ブログのHaiku Karma(2025年)
  9. Haiku公式ブログのプレシード調達発表(2025年)
  10. Haiku公式APIのトークン一覧(2026年)
  11. npm haiku-mcp-server(2026年)
  12. HashlockのHaiku監査レポート(2025年)
  13. Haiku公式ブログ「Haiku MCP」(2026年)
  14. Haiku MCP Server公式GitHub

免責事項

  • 本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
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この記事を監修した人

新井 進悟

新井 進悟

株式会社ロクブンノニ 代表取締役

2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。

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