Upshift|機関投資家向け利回りの民主化

プロジェクト概要

Upshiftは、暗号資産で効率よく利息収入(利回り)を得るためのサービスです。 ユーザーが預けた暗号資産を専門家チームが代わりに運用し、その利益がユーザーに還元されます。 これまで大口投資家しか使えなかった高度な運用手法を、一般の人でも利用できるようにする点が特徴です。

資金調達情報

Upshiftを開発・提供するAugust Digitalは、2023年4月のSeedラウンドでHack VCや6MV、Robot Venturesなどから600万ドル、2025年3月のシリーズAラウンドでDragonfly Capitalなどから1,000万ドルの資金調達を行いました。

エアドロップ情報

Upshift ポイントプログラム

Upshiftポイントプログラムは、Upshiftエコシステム内で流動性提供者や積極的な参加者にポイントを付与する制度です。以下にポイント獲得方法と特典を詳しくまとめます。

ポイントの仕組み(Upshift Season 1)

  • 5倍ボーナス(期間限定):Upshiftの総預かり資産(TVL)が7億5000万ドルに到達する前にボールトに預け入れることで、ポイント獲得倍率が5倍になります。
  • 通常ポイント(1倍):いずれかのVault(レンディングまたはDeFi利回り)に資産を預け入れると、基本ポイント(1倍)が付与されます。

ポイントの配布量は時間経過とともに減少するため、早期に参加したユーザーほどより多くのポイントを獲得できます。ポイントの配布状況は定期的に見直され、新しい獲得方法が追加される可能性もあります。

現在のTVLとポイントブースト状況

  • 現在のTVL: 約2億1800万ドル
  • 5倍ボーナス上限TVL: 7億5000万ドル

ポイント獲得対象となるボールト一覧(5倍対象)

ボールト名チェーンポイント倍率
Kelp Gain vault (rsETH)Mainnet5x
High Growth ETH vault (rsETH)Mainnet5x
Upshift BTC vault (cbBTC)Mainnet5x
Lombard LBTC vault (LBTC)Mainnet5x
Upshift USDC vault (USDC)Mainnet5x
The Treehouse Growth Vault (wstETH)Mainnet5x
Ethena Growth sUSDe vault (sUSDe)Mainnet5x
Upshift ETH Optimizer vault (WETH)Mainnet5x
Kelp Tac Vault (rsETH)Mainnet5x
Kelp Tac Vault (cbBTC)Mainnet5x
Upshift cUSDO vault (cUSDO)Mainnet5x
Sylva Concentrated Liquidity vault (USDC)Mainnet5x
Lombard LBTC vault (LBTC)Base (8453)5x
Upshift Avalanche AUSD vault (AUSD)Avalanche (43114)5x
Upshift Avalanche AVAX vault (WAVAX)Avalanche (43114)5x

Upshiftのポイントを効率的に獲得するためには、早期の参加が推奨されています。

エアドロップ攻略

手順まとめ

  1. 1. 公式サイトでウォレットを接続する
  2. 2. Upshift Points Programのページでポイント獲得倍率が5倍のボールトを選択し、資産を預け入れる

画像付き手順詳細

1.公式サイトでウォレットを接続する 2.Upshift Points Programのページでポイント獲得倍率が5倍のボールトを選択し、資産を預け入れる

プロジェクト詳細

プロジェクトの目的

Upshiftの目的は、「機関投資家レベルの利回りを誰もが享受できるようにする」ことです。これまでヘッジファンドなど限られた主体だけがアクセスできた高度な利回り機会を一般ユーザーに開放し、CeFi(中央集権金融)でしか実現できなかった資本効率や信頼性をDeFiにもたらすことを掲げています。言い換えれば、CeFiとDeFiのギャップを埋め、利回りの民主化を図ることがUpshiftのミッションです。例えば、Upshiftは複数チェーンに分散し複雑化したDeFi利回り機会を一つのプラットフォームに統合し、誰でも使いやすい形で提供することを目指しています。

Upshiftが提供するサービス

Upshiftは主に以下の3つのサービス(プロダクト)を提供しています:

Upshift Lend(レンディング)
機関投資家向けのオンチェーン貸付プラットフォームです。ユーザーから預かった資産を過剰担保付きでKYC/KYB済みの機関に貸し出し、安定した利息収入を得られるようにします。従来のDeFiレンディングより借り手を厳選し(本人確認済み企業のみ)、リスクを低減しつつリアルイールド(実際の借入利息収入)を提供する点が特徴です。
Upshift DeFi Yield(利回りボールト)
DeFi上の様々な利回りストラテジーに自動分散投資するボールト商品です。運用戦略はUpshiftと提携する実績あるトップDeFiファンド(ヘッジファンドや資産運用会社)がキュレーターとして立案・実行します。ユーザーはボールトに資産を預けるだけで、プロの運用者が代わりに流動性提供やステーキングなどの戦略を駆使して利回りを獲得してくれます。これにより、従来は機関投資家のみ利用可能だった高度なDeFi運用を一般ユーザーにも提供できています。
Vault-as-a-Service(VaaS)
他プロジェクトやブロックチェーンエコシステム向けに、Upshiftのボールトインフラをサービスとして提供するソリューションです。Upshiftが開発したERC-4626準拠のスマートコントラクト(金庫型の資産運用コントラクト)をホワイトラベルで提供し、パートナーとなるプロジェクトが自社ユーザー向けにカスタマイズしたボールト商品を展開できるよう支援します。これにより、Upshiftの実績ある運用基盤を他プロジェクトが再利用でき、エコシステム全体の利回り提供サービス拡充に貢献します。

以上の3つを中核サービスとして、Upshiftは利回りプラットフォームのハブとして機能しています。それぞれのサービス間には相乗効果もあります。例えばUpshift LendとDeFi Yieldのシナジーとして、ボールトの運用者(キュレーター)は自分の運用する利回りボールトの預かり資産を担保にUpshift Lendから資金を低金利で借り入れることが可能です。この借入資金をさらに利回り戦略に投入し、借入利率より高い運用利回りを得ることで、元のボールトに預けているユーザーのネット利回りをブーストすることができます。このように、Upshiftは複数のサービスを連携させて資本効率の最大化を図っている点も特徴です。

強み

Upshiftの強みや差別化ポイントをまとめると次の通りです。

高度なリスク管理と信頼性
Upshiftのボールトは、機関投資家から信頼されるAugustのインフラ上に構築されています。資産はユーザー自身の管理下非カストディアル)で運用され、プロトコルもホワイトリスト承認済みの安全性が高いもの(AaveやUniswapなど実績あるプラットフォーム)に限定されています。さらに、各ボールトでは運用先の内訳(どのプロトコルにどの程度資産を配分しているか)が透明化され、運用者であるキュレーターは全員KYC済みの機関投資家です。このようにCeFi並みの厳格なリスク管理と情報開示によって、ユーザーは安心して資産を預けられる環境が整えられています。
複数の収益源による高利回り追求
Upshiftで得られる利回りは、単純な貸付金利(レンディング利息)だけではありません。各ボールトの戦略に応じて、DeFiプロトコルが提供する流動性提供報酬やステーキング報酬などのプロトコルインセンティブも獲得できます。さらに、場合によっては得られた利回りをトークン化し再利用するなど、重ね合わせによる利回り向上(イールドトークンの二次活用)も可能です。こうしたマルチソースの収益により、単一のプール運用よりも高いリターンを狙える点はUpshiftの大きな強みです。
使いやすさと効率性
複雑なDeFi運用をシンプルなユーザー体験にまとめている点もUpshiftの利点です。ユーザーは各チェーン・各プロトコルに個別にアクセスして最適な利回り先を探す必要がなく、Upshift上で一度資産を預ければプロが最適配分を行います。「多数のチェーンにまたがる断片化した利回り機会を個人が管理するのはフルタイムの仕事のようになっている」と指摘されるほどDeFi利回り運用は複雑化していますが、Upshiftはその煩雑さを一元化して解決します。UIも初心者に配慮したシンプルな設計で、難しい専門知識がなくても利用できるようになっています。またマルチチェーン対応により、EthereumだけでなくAvalancheやBaseといった複数チェーンの機会をまとめて提供できるため、ユーザーはクロスチェーンの手間なく幅広い利回り先にアクセスできます。短期間でTVLが数億ドル規模に成長したこと自体、こうした使いやすさや信頼性の高さを示すものと言えます。
豊富な資金とバックアップ
Upshiftは有力VCから資金支援を受けており(後述)、また運用には複数の専門運用会社が関与しています。単一のコミュニティ頼りではなく、外部のプロ機関投資家チームが運用を担っているため、戦略の専門性や市場対応力が高い点も強みです。例えば現行のキュレーターはいずれもDeFi運用の実績があるヘッジファンドで、Upshiftとのパートナーシップにより高度なストラテジーを提供しています。この機関ネットワークの活用はUpshiftならではの利点です

ビジョン

Upshiftは短期的には上述のように機関投資家向け利回り商品の民主化を進めていますが、長期的なビジョンとしては「利回り提供の総合インフラ」となることを目指しています。現在は利回りボールトが中心ですが、将来的には以下のような領域まで包含する計画です。

1. 利回り商品の発見と共有
優れた運用機会を見つけ出しコミュニティ内で共有するソーシャルキュレーション機能の充実。ユーザー同士や専門家による情報提供を促し、最適な運用先発見を手助けするプラットフォームとなること。
2. リスク評価の標準化
利回り商品ごとのリスクプロファイルを評価・提示する仕組みを整え、ユーザーがリスク許容度に応じて商品を選択できるようにすること。専門機関の知見を活かし、客観的なリスク指標や監査情報の提供も視野に入れています。
3. 外部サービスへの組み込み
DeFiの領域を越え、Web2のフィンテック企業や従来型金融(TradFi)機関がUpshiftの利回りサービスを組み込めるAPI/ソリューションを提供すること。例えば、一般銀行の預金口座にUpshift由来の利回りオプションを付加する、といった形でより広範なユーザー層へリーチする構想です。

Upshiftチームは、利回りが新たな金融商品普及の鍵になると考えています。創業者は「伝統的な金融でも、高金利の預金口座がユーザー獲得の切り札となってきた」点に触れ、同様にクリプト業界でも高利回り商品が人々を引き付けると述べています。実際、世界に6億人以上いると言われる暗号資産保有者の多くはその資産を遊休状態で持て余していますが、Upshiftは利回りがこの層をオンチェーン金融に引き込むトロイの木馬」になると捉えています。そうした信念の下、まずは機関投資家の運用ノウハウを取り入れた高品質な利回り商品で個人投資家の裾野を広げ、将来的には利回りを軸にした金融サービス全般のハブになるという壮大なビジョンを掲げています。

動作原理

ユーザーがUpshiftを利用する場合、まずUpshiftのサイト上で任意のボールトを選び、例えばUSDCやETHなど対応する資産を預け入れます。預け入れ時、スマートコントラクトによってボールトシェア(ERC-4626準拠の預り証トークン)がユーザーに発行されます。預けられた資産はUpshiftの提携先であるAugust社のサブアカウントに集められ、そこからキュレーターであるヘッジファンドが実際のDeFiプロトコルへの投資を執行します。具体的な運用内容はボールトごとに異なりますが、例えば以下のような手法で利回りを生み出します。

  • 貸付運用: Aaveのような貸付マーケットに預けて金利収入を得る(Upshift Lendの場合はこちらが主)。
  • 流動性提供LP): DEXやAMMに資金を供給し、その見返りとして取引手数料や流動性インセンティブを獲得する。
  • 先物と現物の金利差ベーシストレード): 先物市場特有の資金調達率(ファンディングレート)の差や価格差を利用した裁定取引で利益を出す。
  • ステーキング: PoS系チェーンで資金をステーク(預け入れ)し、ブロック承認報酬を得る。
  • プロトコル報酬の収集: 運用に使うDeFiプロトコルが発行する独自トークンやポイント(例: 流動性マイニング報酬やポイントプログラム)を取得する。

このようにして複数のソースから収益が発生し、すべてボールト内に蓄積されていきます。Upshiftのボールトは基本的に自動複利型で、得られた利息や報酬はボールト内で再投資されるか、または評価額に反映されます。ユーザーがボールトシェアを保有している限り、その価値は運用成果に応じて上昇し続けます。ユーザーが資金を引き出したい場合、ボールトから引き出し要求を行います。するとキュレーターは必要に応じて運用資産のポジションを解消し、対応する額の原資産(例: USDC)を用意します。スマートコントラクトはユーザーからボールトシェアトークンをバーン焼却し、そのシェアに見合った元本+利回り分の資産をユーザーのウォレットに返還します。これにより、ユーザーはいつでも自分の預け資産とその運用益を引き出せるようになっています。

Upshift Lend(貸付)の場合も基本原理は同様ですが、仕組みはよりシンプルです。ユーザーがUpshift Lendプールに資産を預けると、その資産は指定された借り手(KYC済みの機関投資家)への貸付に充当されます。借り手はあらかじめ定められた過剰担保(例: 借入額の150%相当の他の暗号資産)を差し入れており、適宜利息を支払います。ユーザーは期間終了後に元本と利息を受け取ります。万一借り手が返済不能となった場合でも、担保資産を清算することでユーザー資産を保全できる仕組みです(※Upshift Lendでは借り手を厳選しているためデフォルトリスクは極めて低く抑えられています)。このようにUpshiftはスマートコントラクトと伝統的な金融の信用管理を組み合わせ、非託管でありながら信頼性の高い運用を実現しています。

解決しようとしている問題

Upshiftが解決しようとしている課題には主に以下が挙げられます。

DeFi利回り運用の複雑さ
従来、DeFiで高い利回りを得ようとすると、多数のプラットフォームを自分で調査し、複雑な戦略を自ら実行する必要がありました。イールドファーミング(流動性提供による利回り取得)には高度な知識と頻繁なポジション調整が求められ、多くの個人にとってハードルが高いものでした。Upshiftはこうした複雑さを隠蔽化し、ユーザーは資産を預けるだけでプロが最適運用してくれる仕組みを提供します。これにより、「DeFiは難しいから敬遠していた」という層にも利回り運用を広げることができます。
高度な戦略へのアクセス格差
ヘッジファンドが行う裁定取引や先物を用いた戦略、流動性マイニングの最適化など、高度な利回り戦略は大口の機関投資家だけのものになりがちでした。個人がそれと同じ水準の戦略を実行することは困難でした。Upshiftではプロのファンドが戦略運用を代行するため、個人投資家でも機関投資家と同等の戦略に参加できます。まさに「利回りの民主化」によりアクセス格差を解消しているのです。
信頼性と安全性の問題
近年、CeFiの利回りサービス(中央集権型のレンディング業者など)が相次ぐ破綻を起こし、ユーザー資金が失われる事件が発生しました。DeFiにおいてもスマートコントラクトのバグや匿名運用者による不正などリスクが存在します。Upshiftは資産を自己管理可能な非託管型としつつ、前述したように運用者をKYC済み機関に限定し、使うプロトコルも審査済みの安全なものだけにするなど、考え得る限りのリスク低減策を講じています。これにより、「預けた資産が返ってこないのでは」というユーザーの不安を和らげ、安心して利回り運用できる環境を提供します。
安定した利回り需要の増加
暗号資産市場が成熟する中で、特にステーブルコインに巨額の資本が滞留しています。2023年時点でステーブルコインの時価総額は2,300億ドルを超え、これらの資本は低リスクでの運用先を求めています。しかし既存の銀行金利は低く、かといってハイリスクな運用も避けたいという需要がありました。Upshiftはこのニーズに対し、実績ある運用者による比較的低リスクで安定した利回り商品を提供することで応えています。実際、Upshiftのボールトの多くはステーブルコイン建てで提供されており、オンチェーン上で透明性を担保しつつ従来以上の利回りを実現する、新たな選択肢となっています。「機関投資家は既にAugustに月70億ドル規模の取引を託している。Upshiftはその信頼性を小口ユーザーに拡張するものだ」と説明されている通り、機関グレードの運用を個人に提供できる点で、この課題にユニークな解を提示しています。

パートナーシップ

  • 運用キュレーター:MEV Capital、Tulipa Capital、UltraYield、MNNC Groupなどの専門運用会社
  • 技術提供:August社(インフラやスマートコントラクト技術)
  • 提携プロトコル:Ethena、OpenEdenなどリアルワールドアセット関連プロジェクトとの連携
  • チェーンパートナー:Ethereum、Avalanche、Base

開発者・チーム構成

共同創業者はAlexandre Elkrief氏(元DeFiヘッジファンドトレーダー)とAya Kantorovich氏(元FalconX創業メンバー)。開発チームはAugust社から派生し、金融・DeFi分野の専門家が中心です。

ロードマップ

  • 2024年Q3:ベータ版ローンチ
  • 2024年Q4:複数チェーン対応、初期キュレーターによる運用開始
  • 2025年4月:正式ローンチ、資金調達完了
  • 2025年中:TVL10億ドル到達目標、新規ボールト追加
  • 2025年後半:ガバナンストークン発行予定(予測)
  • 2026年以降:チェーン拡大、従来金融との提携強化、米国市場進出

免責事項

  • 本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
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