Antarctic Exchangeとは|金500倍のperp DEX、使い方とエアドロップ・リスク

目次

Antarctic Exchangeは、暗号資産に加えて金・原油・米国株の無期限先物を、USDT建ての1つの口座で売買できる取引所です。自らはperp DEX(無期限先物の分散型取引所)を名乗り、画面の作りはCEXの先物取引とほぼ同じで、メールアドレスでもログインできます。自社トークンは発行前で、いまは取引量に応じたポイントと、損失の一部を取引資金として返す独自の制度で利用者を集めています。

Antarctic Exchangeとは|33銘柄の先物

公式ドキュメントはCEXの問題として、資産を預けるリスクや注文処理の不透明さを挙げ、同じ操作感のまま資産を自分で管理できる口座を打ち出しています。

項目内容
銘柄33銘柄(暗号資産21、金・銀・原油、米国株とETF 9)
最大レバレッジBTC・ETHは100倍、金は500倍、米国株は5〜10倍
取引手数料メイカー0.02%、テイカー0.05%(VIP0。ドキュメントでは清算時も0.05%)
入金USDTをArbitrum・Ethereum・BNB Chainから。最低10 USDT
ログインウォレットかメールアドレス。取引ごとのガス代はなし
トークン未発行(ドキュメントにATTXの配分表のみ)

※出来高・レバレッジ上限・入金資金の移動は、2026年9月15〜18日に編集部がAntarcticの配信データとブロックエクスプローラーで確認しました。

Hyperliquidの上限は9月18日時点でBTCが40倍、同チェーン上の金の市場が25倍で、Antarcticの金500倍はその20倍にあたります。ただし上限の高さは約定の質を示す数字ではなく、建玉が大きくなるほど上限は段階的に下がります。米国株は逆に低く、NVDAやTSLAの5倍はHyperliquid上の株式市場(HIP-3)の20倍を下回ります。

画像:Antarctic取引画面のスクリーンショット(2026年9月18日撮影)

前日(9月17日)の出来高は33銘柄で約3億ドルあり、SanDisk(SNDK)がETHを上回りました。ただしこれは運営が配信する数字で、CoinMarketCapはAntarcticの価格と出来高を異常値として集計から外しています

運営チームと資金調達

2026年9月7日に、評価額7,000万ドルで700万ドルを調達しました。Valisa Capital MarketsとLucidity Capital Partnersが共同で主導し、トークン部分はRepublic Cryptoが組成しました。ロードマップの2024年の欄にも「7 Million USD Seed Round Raised」とありますが、同じ調達かは説明がなく、累計を1,400万ドルと数える根拠はありません。

チームは大手CEX(OKX・Binance・MEXC)の元幹部と報じられています。公開されている個人名は、CEOのKaiというファーストネームだけです。

損失の50%が取引資金で戻るTRA

Trader Revival Account(TRA)は、14日ごとの期間で確定した損益を差し引きし、純損失の50%を別口座に取引専用の資金として入れる制度です。この資金は出金も送金もできず、本口座へ移せるのはTRAで出た利益だけです。

画像:Antarctic公式サイトのスクリーンショット(2026年9月18日撮影)

精算額は、付与された資金(F)と期間終了時のTRA残高(B)で決まります。

期間終了時のTRA残高(B)本口座に移る利益
F以下なし
Fを超え2F以下BからFを引いた額
2Fを超えるF(上限)

たとえば14日間で400 USDTの実現損失を出すと、TRAに200 USDTが入ります。本口座に戻るのは、この200 USDTを増やせた分だけです。満額の200 USDTを受け取るには、TRAの残高を倍の400 USDT以上にしなければなりません。

対象はメールアドレスを連携してTRAに登録した後の確定損益だけで、含み損は数えません。運営が損失に比例して資金を出すため、わざと作った損失を見分けることが制度の前提です。規則は、本人確認情報や端末、ウォレットで結び付く口座を1つのまとまりとして審査すると定めています。現在の期間は2026年9月14日から27日(UTC)までです。

入金額や出来高に比例する同社の他のボーナスと違い、TRAは確定した損失を基準に配ります。損失の補償というより、同じ取引所で取引を続けた場合に限り、損失の半分までを取り戻す機会を与える制度です。

Antarctic Exchangeのエアドロップ

Antarctic ExchangeのTGEとエアドロップの日程は、2026年9月18日時点で発表されていません。Season 1のポイントページは「AX Points are not a token. Antarctic has not announced any token」と書いています。

一方、公式ドキュメントには総供給1億枚のATTXの配分表があり、8%をエアドロップ枠とし、その配分をポイントで表すと記されています。旧方式のポイントのFAQも将来一定の比率でトークンに転換するとしており、公式の説明は食い違っています。配布があるとしても、条件も時期も約束されていません。

AX Pointsの付与率は資料ごとに3通り

ポイントの付与率は、資料によって最大1,000倍違います。ライトペーパーは1ドルで1ポイント、旧方式のメインネットポイントは100 USDTで1ポイントです。2026年6月8日に始まったSeason 1は、適格出来高1,000ドルで1ベースポイントです。

いまの中心はSeason 1で、ベースポイントに、AMLPへの預け入れや紹介、クエストで上がる倍率を掛けます。倍率の計算式は開示されていません。AMLPはトレーダーの取引相手になるプールで、トレーダーが勝てば預けた側が負けます。9月18日時点の最大ドローダウン(高値からの最大下落)は-26.63%で、引き出しは7日待ちです。

適格出来高の定義も非公開ですが、取引額どおりに数えられるとすれば、VIP0のテイカー注文では1ポイントごとに手数料を0.5ドル払う計算です。

旧方式は、取引も友人招待もない状態が7日続くと5%が焼却される規則です。Season 1との関係は説明されないまま、集計が続いています。

ポイント以外で開催中のキャンペーン

プログラムもらえるもの条件・期限
New Trader Welcome Bonus(自社)1人最大7,345ドル(総額10万ドル)条件・期限とも未確認
金・銀トレードコンペ(自社)賞金総額5万ドル金・銀の取引が対象。条件は未確認
September Futures(自社)総額5万USDTの段階報酬2026年9月30日19時(UTC+8)まで
Safe Migration Program(自社)最大1,000 USDTの再スタート資金2026年9月23日13時(UTC+8)まで

画像:Antarctic公式サイトのスクリーンショット(2026年9月18日撮影)

どれも、細かな参加条件はログイン前の画面に示されていません。

👉 ポイントとキャンペーンの条件を公式で確認する

Antarctic Exchangeのリスク

重いのは、入金したUSDTの保管先を外から確かめられないことと、高い倍率で損失が一気に確定することです。

入金したUSDTはどこに置かれるのか

公式ドキュメントは、資産の管理を中央集権的な主体へ移すよう求めることは一度もないと書いています。ところがArbitrumの入金用コントラクトに入ったUSDTは、入金者ごとに別の中継アドレスを経て、1分前後で1つのアドレスへ集められていました。集約先は、秘密鍵で直接動かす外部所有アドレス(EOA、0x77bC…aafA)です。

このアドレスを誰が管理しているかは、公開資料からは分かりません。3チェーンの入金用コントラクトと集約先で確認できたUSDTは、合わせて約8万ドルでした。運営が示すLPの預かり資産は861万ドルで、その大半の所在も特定できません。

ドキュメント39ページと公式サイトからは、第三者の監査報告も、準備金の証明も、ドキュメントがうたうzkRollup決済の証明を検証するコントラクトの公開先も見つかりませんでした。

外から見える範囲では、残高の保全は運営の申告を信じるしかありません。

500倍で損失が確定するまでの値幅

金を500倍で建てると証拠金は建玉の0.2%しかなく、VIP0のテイカー手数料を往復で払うだけで証拠金の半分が消えます。BTCの100倍でも、1%の逆行で証拠金を失う計算です。

株や金の銘柄は原資産を持たない価格連動型の先物で、清算やADL(利益の出ている建玉を強制的に縮小する仕組み)の対象になります。

ポイントとTRAは損失に見合うのか

TRAとポイントの見返りは、どれも取引を続けなければ得られません。TRAの資金は出金できず、払い出しも付与額までです。Season 1のポイントは、公式自身がトークンではないと書いています。

見返りは条件付きで先の話ですが、損失と預け先のリスクは入金した時点から生じます。

Antarctic Exchangeの使い方

流れはログイン、USDTの入金、発注の3段階です。やめるときは資金口座へ戻して出金します。

日本から使えるか

規約(User Agreement、2024年9月17日更新)の禁止国は米国・カナダ・中国本土・香港・シンガポールなど13の国と地域で、日本は含まれていません。ただし規約はこの一覧が網羅的でないと明記し、居住地を偽ったと分かれば口座停止や建玉の強制決済がありうるとしています。

規約は本人確認(KYC)として、登録時に身分証と、それを持った本人の写真の提出を求めています。求められる時点を示した手順は見つかりませんでした。運営法人名は規約になく、準拠法はシンガポール法です。アプリの開発者は、パナマに住所を置くAntarctic Exchange Corporationです。

ログインはウォレットかメールで

ウォレットがなくても、メールアドレスなどで登録すれば取引用のアドレスが自動で作られます。

  1. 公式サイト右上の「Log in」を押します。
  2. MetaMaskやOKX Walletなどのウォレットを接続するか、メールアドレスなどで登録します。
  3. TRAを使うなら、メールアドレスを連携しておきます。

Antarctic Exchangeの入金

入金はUSDTで、最低額は10 USDTです。

  1. ログイン後、入金の操作で送金元をArbitrum・Ethereum・BNB Chainから選びます。
  2. USDTを入金します。
  3. 入金額が口座に反映されたのを確かめます。

発注と損切りの置き方

注文方法はMarket・Limit・Triggerの3種類で、数量はUSDTで入れます。

画像:Antarctic取引画面のスクリーンショット(2026年9月18日撮影)

  1. 画面左上の銘柄名から銘柄を選びます(金や株はTradfiタブ)。
  2. 発注パネル上部でマージン方式と倍率を確かめ、必要なら倍率を下げます。
  3. 「TP/SL」にチェックを入れ、発注と同時に利確と損切りの価格を決めます。
  4. 建てた後、損切り価格がポジション一覧の推定清算価格(Est. Liq. Price)より手前にあるかを確かめます。

振替と出金

取引口座から資金口座への振替は24時間で2万USDTまでで、最低出金額はありません。

出金先チェーン手数料(CoinGecko掲載値)
Arbitrum・BNB Chain0.10ドル
Ethereum3ドル
  1. 取引口座のUSDTを資金口座へ振り替えます。
  2. 資金口座から、出金先のチェーンを選んで出金します。

入金した直後に一部を出金してみると、出金の経路が実際に機能するかを確かめられます。

👉 対象地域と最新の条件を公式サイトで確認する

まとめ

Antarctic Exchangeは、金500倍や米国株まで扱う品ぞろえと、損失の50%を取引資金で返すTRAで、CEXの先物利用者を呼び込もうとしている取引所です。ただし、見返りは取引を続けなければ得られません。入金したUSDTが最終的にどこで保管されているのか、ポイントがトークンに結び付くのかも、まだ分かっていません。

出典

  1. Antarctic公式サイト(2026年)
  2. Antarctic手数料(2026年)
  3. Antarctic TRA(2026年)
  4. Antarctic Season 1(2026年)
  5. Antarctic旧ポイント(2026年)
  6. Antarctic利用規約(2024年)
  7. Antarctic FAQ(2026年)
  8. Why Antarctic(2026年)
  9. ATTX配分表(2026年)
  10. Antarctic銘柄データ(2026年)
  11. Blockscout入金用コントラクト(2026年)
  12. Blockscout集約先アドレス(2026年)
  13. Hyperliquid API(2026年)
  14. Antarctic調達発表(2026年)
  15. Dealroom(2026年)
  16. crypto.news(2026年)
  17. CoinMarketCap(2026年)
  18. CoinGecko(2026年)

免責事項

  • 本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
  • 本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
  • 本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。

この記事を監修した人

新井 進悟

新井 進悟

株式会社ロクブンノニ 代表取締役

2013年に東京理科大学大学院(経営工学専攻)修了後、Web・アプリ・広告業界の複数社でエンジニア、データサイエンティスト/データアナリストとして従事。2017年頃から仮想通貨・ブロックチェーン領域に携わり、2018年1月に株式会社ロクブンノニを設立、同年2月にブロックチェーン特化型メディア「Crypto Times」をローンチ。業界歴は約9年。DeFi・L1/L2プロトコル・トークノミクス・ZKP・国内外の規制動向を専門領域とし、自身でもオンチェーンでの資産運用・リサーチを日常的に行う。数百本以上の記事執筆・監修を担当し、国内外カンファレンス登壇、DeFi資産運用セミナー講師、KOLアンバサダープログラム運営など実績多数。

DeFiブロックチェーン技術仮想通貨市場分析Web3プロダクト